Fastest Lap

Fastest Lap

December 22, 2009
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テーマ: F1(444)
カテゴリ: Formula 1
HALくんにコメントで書かれてしまいましたがアブダビで見せたジェンソンのオーヴァーテイクに可夢偉の非凡なスキルがぎっしり詰まっていました。
ジェンソンをオーヴァーシュートさせることに成功したのは、やはり立ち上がりでイニシアティヴを握ったストレートの占有ラインにあります。ジェンソンはインサイドにいたものの、並んでいる状態ではラインが苦しいことを知っていたのでストレートエンドで“突っ張りすぎ”てオーヴァーシュートしてしまいました。
ジェンソンを心理的にそこまで追い込めたから労せずして可夢偉はポジションアップを果たしましたが、彼は実際にオーヴァーテイクを仕掛けるまでのシークエンスが見事です。
こういうシーンを見せられるたびに、可夢偉が“自分でセットアップした自分のマシンで戦う”姿が見たかったと思ってしまいます。
ティモのために誂えられたマシンでのアタックではなく、可夢偉のために作られたマシンを彼がセットを決めて、心置きなく渾身のフルアタックを敢行する可夢偉が見たかった。
彼の走りにはその価値があります。
ザウバーから2010年へのエントリーが決まった今もトヨタのマシンとの相性と比べると如何ほどだろうと案じずにはいられません。
しかしながら、ザウバーとフェラーリのパッケージングは初めての組み合わせではないので大きくはずしてしまうことなく、それなりのパフォーマンスを見せてくれるだろうと思っていますがこればかりは開けてみないとなんともいえません。

エンジニアはすべてテレメトリーやオンボード・コンピューターで吸い上げられる「数値情報」に頼りすぎる傾向にあります。

しかし、その数値にはドライヴァー個々の人格が宿っていることが多いのです。どんなに精巧で抜け目のないシミュレーターをプログラムしようとしても実現できない人格的数値が存在します。得てして仕事ができないエンジニアほど数値に表れる「人格」を無視する傾向にあります。
そんな彼らを非難するつもりはありませんが、もう少し柔軟な頭を持っていただきたいと思います。こういうエンジニアばかりのティームの成績は推して知るべしです。
さらに「数値情報」とカッコでくくったからにはそれなりに理由があります。物理や宇宙物理学にはすべてに法則が存在します。
マシンの挙動もしかり。そこに人間の意志や知能が介入することで理論、数値だけでは説明できない兆候や現象が現出します。これを僕は理論愁訴とか数値愁訴と呼んでいます。
エンジニアの方々がこれに直面したときに取る対応は様々。
ドライヴァーが訴える症状や操縦特性を突き詰めるために真っ向勝負する方もいらっしゃれば、解析不明要因を排除してアヴェレージ・データをアナライズするかた、トラック・エンジニアやドライヴァーと詰めてデータとしては蓄積するもののセッティングや設計には反映させない方々等など様々。
チーフ・エンジニアをはじめとして、データ・エンジニアやトラック・エンジニアにどういうかたがいらっしゃるかである意味ティーム・カラーが決まります。
しかし、今日は可夢偉のお話。こちらはまたの機会に譲るとして可夢偉のセンシング・パフォーマンスとセッティング・スキルにはF1のアヴェレージ・ドライヴァー以上の能力が間違いなくあります。
たらればの話はしたくはありませんが、トヨタが今季、可夢偉を乗せていたら中盤以降には何度か表彰台に届く走りを見せ、レースの流れ次第では何度かポディウムに乗った可能性さえ否定できません。もしこれが実現していたなら可夢偉はザウバー以上のティームのシートを獲得できたはず。
ただし、終盤の2戦で見せた可夢偉のパフォーマンスはGP2で磨かれたセンスがちりばめられていたこともまた事実で、今季最初から可夢偉が乗っていたとしても序盤から結果を出せたかどうかは微妙です。
確かなことは彼がジャパン・レヴェルの速いドライヴァーではなく、ワールド・アヴェレージのレーシング・ドライヴァーであるということです。











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Last updated  December 23, 2009 03:27:19 AM
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