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2005年02月26日
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大学入試の試験監督ほど、強い緊張感を強いられる一日は無いが(自分自身が受験生だったときの比ではない)、それでも派遣される会場が駒場だった時は一つだけほっとできる時間がある。
梅林に数百羽のメジロがやって来て、咲き誇る梅の枝をびっしりと埋め尽くすのである。その様子がなんとも可愛らしい。花の蜜を吸っているのだろうが、よくこんな体勢でと感心する。ほとんど鉄棒の選手のような動きを見せる。
宋代の院体画以来しばしば好んで描かれた画題を、こうして鑑賞者の目ではなく、画家の目で見られる時間は貴重で楽しい。
ああ、この監督が済めば本格的な春だな、と心待ちにするのである。
表題に掲げた句は、「春入千林処々花、秋沈万水家々月(秋はまんすいにしずむ、かかのつき)という対句なのだが、春の部分だけが揮毫される事が多いように思う。
千利休の孫=宗旦(そうたん)はこの前半句を一ひねりして「花」を「鶯」に置き換えた。「春入千林処々鶯」という訳だ。これは元の句をたくさんの人が知っている事を前提にして、別のイメージを提示した楽しい展開例である。以来、表千家では代々の家元がこの句を揮毫して、新春の床の間に懸け、年賀の客を迎える慣わしになった。
目に梅とメジロを満喫しながら、どこかに鶯の声が無いかと耳を立てる。今年もまた春に会えた、その喜びを今日は本郷で想像しながら、入試の無事終了を迎えよう。





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最終更新日  2005年02月26日 07時02分15秒
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