フリーページ

2005年06月14日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
----- Original Message -----
From: >
To: ??????@s5.dion.ne.jp>
Sent: Tuesday, June 14, 2005 10:07 AM
Subject: 14日の日記



東山水上行について話さなければいけない日が、刻々と近付いてきている。

この頃の錯乱したような精神状態で、こんな話ができるのだろうか。

しかも八日間にわたって、のべ千人以上の方々に破綻なく・・・



もうひと月続いている不眠症が、明らかに私の精神生活に異常を齎している。





雲水に「いかなるか諸仏出身のところ(もろもろの仏が生まれるのはどんなところですか)」

と訊ねられて、雲門文偃(うんもんぶんえん)が「東山水上行(山が水の上を流れて行くよ)」と答えた故事である。



通常わたしたちは、山は動かぬもの、水は流れ行くもの、と見ているわけだが、水から見れば山が流れていると見ることも当然可能になる。



天動説から地動説への意識の転換はキリスト教世界では大問題になった。

世俗の学者から提議された説が神学の世界に大きな揺さぶりをかけた事件であった。



禅の世界では宗教界の大立て者=雲門宗と呼ばれる禅の一派を形成する雲門文偃から、コペルニクス的発想の転換が促されている。



古来、あまたの人々によって解説されてきた東山水上行について、手元にある限りのものを比べてみる。

たいていは、間違っていないが真意には到達していない無難な解説ばかりで、こんなものをいくつ読んでみても始まらない。

やっと道元の『正法眼蔵』巻十四「山水経」にたどりついた。



とはいえ、『正法眼蔵』ぐらい難解至極な文章もない。

わからぬところだらけだが、ともかく講演初日まで三日しかない。





われわれ人間は、人間の立場から水をながめているが、竜や魚の立場に立ったら、水は宮殿に見えるだろう。ちょうど人間が宮殿を眺めるときに流れるものとは決して見ないように。もしも傍で誰かが竜や魚に「お前が現に宮殿として眺めているものは実は流水なのだ」と言ってやるならば、それはわれわれ人間が現に「山は流れるものだ」という言葉を聞いて驚くのと同じようなものであって、竜も魚も即座にびっくりして首をかしげるであろう。



この言葉なら誰にもすんなりと受け容れられるだろう、と少しほっとする。



ちょっと休憩のつもりで、原稿作りの手を休めてメールを見ると、何人もの人からアンソニー・ロビンズの『人生を変えた贈り物』の紹介が来ている。



昼休みに銀座のブックファーストまで出かけて早速入手する。



冒頭に紹介されているのは、貧しい少年が、食卓の貧しさ以上に父母のいさかいに心痛めているとき、突然現れた感謝祭のプレゼントの話だった。





著者アンソニー自身の逸話を読みながら、ふと気が付いた。

このひと月、私は感謝という言葉を失っていなかっただろうか。



私が苦しんでいたのは自信喪失と、それに起因する身体症状、そして喪失感の加速的増幅。

さらに一層の自信喪失という際限のない悪循環。でもそのどこに感謝の文字があったか?



私をいちばん私らしからぬ者にしていたのは、感謝の気持ちを見失ったことではなかったろうか。



私がここまで落ち込んでいるのだから、あの人なら私に安心を与えてくれて当然と、勝手に期待し、期待が満たされぬことで自信喪失が猜疑心にまで発展していったのではなかったか。



『人生を変えた贈り物』にはさまざま思い当たる節がある。

なかにドライビング・スクールのレッスンの話があった。「スリップし始めると、ほとんどの人は、いちばん怖いものに意識を集中し、壁を見てしまう」がゆえに、壁に激突するという。



「目にするものは数限りなくあるのに、多くの人は、つい嫌なこと、自分でコントロールできないことに気をとられてしまう」とも書かれている。

今の私がまさにそれではないか。



私の人生のなかで、ずばぬけて輝いている大切なもの、それさえも喪うのではないか、という恐怖心から、私の妄想を超えて現実にそれを喪いかけているのかも知れない。壁にではなく、行きたい方向に意識を向けかえられなければ・・・



発想の転換、水は不動で山が動く、この言葉の全面的理解が可能になるかどうかはまだ解らない。



しかし感謝の二文字で意識の方向を変えられないだろうか・・・





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年06月15日 02時29分21秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

巌雪英稜

巌雪英稜

コメント新着

ゆう@ とうとう出ちゃったね うわさは本当だったよ。 http://himitsu.…
緑の海 @ Re:卆寿の祝い(02/22) 中嶋さんとはあの方でしょうか。お茶巧者…
緑の海 @ 檀家まわりをなさったのですね。 少しも暑さを感じさせない、先生の一日、…
わかすぎけん@ 遅ればせながら お誕生日おめでとうございました。 目に…
わかすぎけん@ 死んだ男の残したものは 合唱あがりの、わかすぎです。ご無沙汰し…

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: