ら組三番町大安売屋碧眼の魔術士

2005年07月10日
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覚悟はしていたし、別れはもうかなり前に済ませていた。


そうした場所には駆けつけない主義だし、大層な言葉をかける趣味もない。

最後の時間をあるべき地で楽しみたいという彼の言葉に、
自分はいつもの寝際のように、軽く挨拶を交わしただけだった。



彼の戦友が去っていた時にも感じたことだが、
双子の兄の去就にひとつの時代が終わったことを感じさせられる。

ある時代をつくった者は、どうしてこうもその去り際は万別なのだろう。

残された者はじたばたと自分の在り様を考え込むことになる。







最後の日までここにいる、と。


だけど、その日まで昔のように過ごせるかと言えば、怪しいものがある。


言葉の棘はひとたび刺さると、いつまでも痛み続ける。

この痛みに耐えられるほどには強くないし、
ただ、それを口に出すことができない、気弱な自分がいるだけだ。


それから逃げるように、のんべんだらりと歩くだけなんだろう。







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最終更新日  2005年07月10日 20時57分05秒
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