「ミザリー」で1990年アカデミー主演女優賞とゴールデングローブ賞を受賞したキャッシー・ベイツが「本当はいい人」を好演する「黙秘」。
スティーブン・キング原作だけあって恐くもあり、主人公が最後まで悪人のようなキャラクターとして描かれている。
この映画は実に素晴らしい。
現実と回想シーンが入り混じって描かれるも、現実は暗く過去は明るい画面で描き分けられるので混乱するのをかろうじて防いでくれる。
どのシーンを見ても映像が美しく、監督の並々ならぬ技量とこの映画に懸けた執念のようなものを感じさせる。
強くてたくましく外連(けれん)の全くない、どこまでも娘のことだけを思って生きてきた母親。
ラストシーンがこの映画をよく物語っている。疑いを晴らした母親のもとに、何もかもを失った娘が残る決心をしたことを打ち明ける。
しかし母親は静かに、「行きなさい」とひとこと。ドライに淡々とした口調で娘を突き放す。
あくまでも娘の事を思い、まだ先のある娘が小さな島で人生を棒に振るような事がないようにと。
ここで重要なのは、母娘の別れ際の潔さ。
娘はすんなりと車に乗り込み、母親は窓越しにちょっと見送る素振りをするだけ。車が載った瞬間にフェリーは出発してして、そこで映画は終わる。
「抱え込む文化」を持った日本の映画ではこうはいかない。抱き合ってハッピ-エンドというのがせいぜいでしょうか。
独立を重んじるアメリカならではの最高のラストシーンでした。
「風と共に去りぬ」のラストシーンを思い出した。
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