蝉ほど浮世の儚さを感じさせるものはない。
7年にも及ぶ地中生活から這い出してきて、僅か一週間あまりの”蝉として”の生活。抜け殻がこの世に存在していた証と言わんばかりに、いつまでもその場所に残されている。
蝉となってからは、毎日毎日ただただ狂ったように鳴きつづける。そうして、ほどなくして死んでは、その武骨な死体をさらけ出す。道路にひっくり返って転がっている様は、無残でもあり、不様でもある。
地中から這い出して、不完全変態し、全身全霊で鳴き通してあっという間に死んでいく蝉は、短い期間の割に存在感はピカ一だ。
こんなにも必死で鳴かないと子孫を残す相手が見つからないというのも、何んとも哀れで不思議な話だ。この一週間と言う短い間に、必死で子孫を残すためだけに羽化したようなもの。
ホタルは光で、蝉は声でする集団お見合い。
もし昆虫にモラルがあったら、蝉は騒音防止条例違反で鳴く事を禁止させられるに違いない。他の昆虫にしたって、”あれは無いよな”と思うほどにその鳴き声は際立っている。
♪ 亡き骸と抜け殻ありて徒 (あだ) し世に・・・有終には憂愁を掛けて・・・
鳴いて過ごせし蝉の有終
アメリカの北部では、周期セミの中の13年ゼミ(13年周期)の発生周期が来年(2011年)に迫っています。
17年周期の17年ゼミは、再来年(2012年)に当たり、それ以降2021年まで北米のどこかの地域で発生する周期に入る。
来年の夏は、またそのニュースがマスコミで大きく取り上げられるでしょう。
地中から這い出して来た幼虫が道路を埋め尽くし、一気に蝉となって鳴き出すのですから、その鳴き声たるや物凄いでしょうね。
3歳で経験した子供が、二十歳になってその記憶を甦らせるというサイコ映画のネタになりそうな話です。
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