昨夜は、とても珍しいとてもエキサイティングなものを鑑賞できて、一期一会の醍醐味を味わった。
お寺でフリージャズと聞いて、そのミスマッチな企画に驚くとともに、昔聴いた小山彰太の率いるトリオが出ると言うので、物は試しとばかりに犬山の薬師寺へ。
これがなかなか面白かった。同宗派の青年会のメンバーも参加して、声明あり大太鼓衆の披露あり、理趣経の唱読あり散華あり、大般若転読あり、の盛り沢山な趣向。
単独で、あるいはそれぞれとフリージャズとのコラボレーション。
変えてはいけない伝統と教義の世界と、変わるべく変化していくジャズの世界。
せめぎ合い絡み合い、一期の刹那を共有しながら作り上げていく、偶然と確信の綯い混ぜとなった音の時空間。
観る側も巻き込んでの緊迫のひと時は、魂を解放すると同時に本堂に渦巻く音が脳を揺さぶって、得も言われぬ心地よさがあった。
客席に入っての散華
大般若転読
すべてが初の試みばかり。
声明も大般若転読も本来は正面のご本尊に向かって奉納するものだけど、今回はお客さんに向かって行うという型破りな形式がとられた。
声明とサックスの融合、大般若転読とのフリージャズの響演。ヴァイオリンのフリージャズというのを初めて聴いたが、他の楽器に負けず劣らずいい競演となっていた。
最後は大太鼓も加わって「般若心経」を観客も加わった全員で唱える大団円。
正に不易流行を地で行った、犬山・薬師寺の「お寺でコンサート」でした。
今回の、フリージャズ・トリオ「林栄一(Sax)、國仲勝男(六弦)、小山彰太(Dr)+Azur(Vi)にもう一人ヴァイオリン(イトウカズヒト)が加わっての演奏は、かなり良い出来だったと思う。
実力派の演奏だけに、緊迫感とスピード、密度とバランス、濃厚な音の競演は最後まで飽きさせなかった。
急に決まった話で、打ち合わせも不十分だとご住職が言っていたけれど、そんな不安を感じさせない素晴らしい夜だった。ご住職にとっても将来に向けて、新しい可能性を見いだしたイベントだったのではないだろうか。
身も心も存分に刺激を受け、小雨の降る寒い夜にも拘らずホットな気分で帰って来た。
*背景には私の衝立をあしらって、和洋折衷、異分野交流の特異な空間を演出するお手伝いが出来たのは幸いだった。
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