おもしろきこともなき世をおもしろく住みなすものは心なりけり
と、詠ったのは高杉晋作。
あの動乱の幕末に生きた志士の言葉にしては、妙に青臭い感じがする。
今と違って情報も少なく、時間もゆっくり流れていたのでしょう。
29年の短い生涯で、山口、江戸、京都、を行き来し、上海留学もしている。移動手段とて籠に乗るか歩くしかなく、焦ったところでどうにもならない。
飛行機であっという間に目的地に着いてしまう現代と違って、心の余裕は充分にあったはずだし、過多な情報に振り回されることもなかった。
裕福な家に生れたことで、自分の意思で自由に生きられた彼の生涯は短いけれど充実していたことでしょう。
しかし、実際に生きていく上には多くの困難が待ち構えています。自由なんて無いと感じる事もしばしばです。事実、この世の中に完全な自由なんて存在しない。有ったとしても、自由ほど不自由なものは無いのです。
規制や制約、抵抗や束縛、反対や抑圧があればこそモチベーションが高まり生きる意欲が増すというもの。高杉晋作が生きた時代、彼の回りにはそれ等が渦巻いていた訳で、その渦中で生きた彼等は十二分に生き甲斐を感じることができたはずです。
♪ 示されず強制されず指示されず先も見えざる一人ゆく旅
放任ほど厳しいものはない。戦うべきものが明確に示され、それに立ち向かっていく方が生き易い。与党と野党でいえば、目上の与党を攻撃していればそれで済む野党は何とお気楽で生き易いか、野党第一党という立場がもっとも美味しい生き場所だ。
それに比べて与党は、ただ野党と戦っていればいい訳ではない。戦うべきものは山とあるはずなのにその形は見えず、或るものは身中の虫であったり、慣習化や慣例という慢性疾患だったり、様々な欲という癌細胞だったり・・・。
人には目標が必要だ。それは立ち向かう意欲が湧くものでなければならない。
脱獄に意欲を燃やす「パピヨン」のように、セキュリティーの網をくぐって宝石を盗む「ピンクパンサー」のように、密造酒を売るマフィアのように、厳冬の北壁に挑む登山家のように・・・。
スリルと快感が意欲をかき立て、困難であればあるほどそのモチベーションは上がる。
まさか、法律を破る様なものへ足を突っ込めと言うつもりはない。如何に自分の敵を見つけるか。そしてそれが戦うべき価値がある相手かどうかが問題だ。一人相撲になったり徒労に終わったり、初めから勝ち目がない相手では話にならない。
人の世という集団生活の中に自由なんて無いということを、世間はもっと声高に言う必要があると思う。自由を叫べば、そこには必ず責任が発生するわけで、そこで発生した責任を自己において処理できなければ、昔の武士ならば切腹するしかない。
権利という言葉が、身勝手や利己主義と同義語となり、無責任や他人の権利侵害の口実になっている今、自由と権利の意味をこの国全体で教育し直す時が来ている。
♪ うたかたのただ流れゆきたゆたいて瀞に寄せいる浮草の群れ
◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。
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