
♪ 人生は川の流れのようなもの ひばりの歌をバルジャンに捧ぐ
ストーリーは皆さんご存じでしょうから触れませんが、兎に角感動しました。ミュージカルということで敬遠される方も居るかもしれませんが、ミュージカルでこれだけ感動を与えられるというのは凄い事です。
原作は150年前に、1815年から1833年までの18年間を描かれている。
1985年にロンドンのウエストエンド、その後ニューヨークのブロードウェイでロングランヒットした名作ミュージカル。それがいかに素晴らしいものかを物語っているわけですが、そのミュージカルの映画化ということで、練りに練られた舞台を映画でしか表せない手法と演出で魅せてくれる。
とにかく、この歌と構成の素晴らしさに感動し、後半は涙が止まらなかった。
驚くのはすべて「口パク」ではなく、実際に歌っているということ。通常、ミュージカル映画の場合、事前に歌をレコーディングしておいてその歌に合わせて口パクで演技をするのが常識になっている。
しかし今回、監督はキャストの気持ちの高ぶりや心の揺れを、リアルに表現するために全編ライブでの撮影を決めたのだという。これは凄い事です。
この「生の歌」こそが映画全体にライブ感やグルーヴ感を生み出し、大きなエネルギーとなって観る者に強烈なメッセージを訴えかけてくる。
罪、憎しみ、怒り、普遍の愛、勇気、希望、友情、誰もが持っているこれらのもの。生きている事の素晴らしさ、難しさ、悲しさ、やりきれなさなど、ソロあり、オーバーラップあり、そして圧倒的な迫力の合唱となって訴えかけ、魂を揺さぶってくる。
このレ・ミゼラブルを越えるものは当分の間出てきそうにない、ミュージカル映画の最高傑作だと思う。
美空ひばりの歌う「川の流れのように」が、この映画とオーバーラップしてくる。87年に病に倒れ、不死鳥のごとく回復して、88年の秋にこの曲を含む10曲の入ったアルバムをレコーディングする。
普通は1日1曲がせいぜいなのに、彼女は2日で完璧に歌いきったという。2週間前にデモテープを渡し、その2週間に完璧なまでに歌い込んでいたのだ。
初めは別の曲がシングルカットされる予定だったものを彼女の強い希望で、「川の流れのように」がシングルカットされることになったという。そのように口をはさむのは彼女には異例のことだったとか。
そして、レコーディングの翌年6月に亡くなっている。
具体的にはひばりに、このバルジャンのようなエピソードが有るわけではないのに、何故かそういうイメージがついてまわる。晩年の病気を押しての数々の舞台は、気力だけでファンへのサービスと歌う執念を支え続けた壮絶なものだった。そんな命をも惜しまないほどの気力がどこから湧いてくるのか。
人間の内面に持っている計りしれない力がそこには溢れている。損得を超越した絶対的な信念と使命感。途中で投げ出すことへの飽くなき抵抗。
蛇行する激流に翻弄されながらも決して恐れることなく、それが人生とばかりに挑みつづけていく。
先日、米アカデミー賞の前哨戦となる第70回ゴールデングローブ賞のコメディー・ミュージカル部門で受賞。ジャン・バルジャンを演じたヒュー・ジャックマンがコメディー・ミュージカル部門の主演男優賞を、ファンテーヌ役のアン・ハサウェイは同部門の助演女優賞を獲得。
アカデミー賞の受賞は間違いないでしょう。
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◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。
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