歌 と こころ と 心 の さんぽ

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2015.05.30
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テーマ: 短歌(1718)
カテゴリ: 一日一首








 「月刊カドカワ」売り上げ実数6,000部だったものを、18万部まで伸ばした男。角川書店を辞め、周りの全ての人が反対するのを押し切って幻冬舎を起こす。11月に設立し、その12月28日から翌1月7日まで、40~50人のクリエイターたちに毎日手紙を書いたという。



 誰もいない雑居ビルのオフィスで1日4~5回。作品に対する文芸批評はもちろん、これからの自分のビジョン、そして彼らの心に突き刺さるだろう感想を、一日4通から5通を書きまくったというのだ。
 作家たちの新作はもちろん、前作、前々作もすべて読み切ったうえで「ここを切り口に敷衍(ふえん)し、こういう感想を書こう」とかを考えながらがむしゃらに書く。

 たとえば、相手がミュージシャンなら、「このアルバムのこの曲を突破口にしよう」と考え、その曲に秘められた本人も気づいていないだろうことや、ここを指摘されると嬉しいだろうと思うところを探り当てながら書く。相手にとって刺激になる、また相手に何かを発見させるようなことを書かなければ意味がないと、彼らの世界にトランスし、研ぎ澄ませた鋭利な精神で書き綴っていく。
 作家、ミュージシャン、俳優、スポーツ選手、などの世界に自分をトランスし、ただひたすらに手紙を書く。必ず相手の心を打つと思いながら。

 その結果はすべて最初の一年で実ったという。一つ間違えばストーカーになってしまう様な手紙が、結果的には「こんなに俺の無意識を顕在化してくれた」、「この手紙を読むと見城が書いている様なことをしなければいけない」と思われ、「自分はもっともっといい作品を作れるかもしれない」そう相手に想わせる手紙を書けた。それは、その人物が自分のなかに憑依していたからだという。

 他人とは違ったことをやらなければ何も得られない。全ての成功を導くコンテンツは4つに集約出来るとも言う。
 1、オリジナリティがあること。2、明快であること。3、癒着があること。4、極端であること。

 子供のころから自分は異端者だということを意識していて、その自覚が有ればこそ「革命」という観念的ロマンチシズムに憧れ、吉本隆明に心酔する。そして江藤淳の吉本隆明評の中で、彼が「精神の被虐者」であり、「肉の裂け目」を抱えていた異端者だったとの評に出合い、この詩人に感銘し強く共感を覚えるようになる。
 自分が異端でマイノリティの人間だと自覚することで、他人とは違う事がやれる、やらなければならないと、確信するようになっていったらしい。


「異端者の快楽」太田出版 2008年発行

 異端者の快楽を唯一の友として、絶望しきるために熱狂して生きる。ルールに飼い慣らされなかった痛々しいほど笑っているマイノリティの一人びとりがいる。普通の人々が決して知り得ない秘密の快楽に全身を痺れさせている匿名の背信者がいる。
 異端の中にこそ創造的な意味での正統があり、異端の中にこそ快楽の極点があると確信している。

 「昼の明るさに夜の闇の深さがわかるものか」というニーチェの言葉をつぶやきながら、僕は、いまだこの世界を呪う匿名の背信者だと腹を据え、危ない橋を渡りつづけている。
 7年前のこの本の中で、今後10年以内に幻冬舎を日本一の出版社にするという目論見を語り、麓で平和に飼いならされた豚になるより、頂上でプライドを持ちながら凍えて死ぬ豹になると、独りごつ。マシンガンを向けて、胸に凶器の火を沸々と燃やしつづける。1950年生まれで今年65歳になる。


 勝者の弁は何時だって雄弁だし、何でも言えるし、何を言っても許されるというのも事実。しかし、私は、この人の異端を自認しそれを自分の最強の武器にしているところに強く惹かれる。成功者はすべからく異端者でもあるわけだが、「人たらし」という部分に於いてピカイチの執念と行動力に感動する。
 営業は、商品を売るのではなく自分を売り、自分を買ってもらうという事を知り尽くしているばかりでなく、その徹底さには舌を巻くばかり。分かっていても出来ないのが普通の人すれば、常軌を逸した行動力は正に異端そのも。
 スポーツでも商売でも、成功者は生まれながらに持っているものがあり、それを若くして自覚しているところが共通している。明快で、極端で、独自の理論を持ち、そのものに心底打ち込めるハートを持つ。
 単なる偏屈のへそ曲がりを異端者とは言わないわけで、一匹狼ならぬ「一匹羊」を自認する私は、似非異端者だ。 




◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。。◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。

「ジグソーパズル」  自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

短歌集 「ミソヒトモジ症候群」 円居短歌会第四歌集2012年12月発行

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最終更新日  2024.06.07 10:47:09
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◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
「ジグソーパズル」  自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

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◎ Ⅳ 興味深いこと パート2
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