彦根までは参りましょう
澄みきった青空に毛槍が舞い、井伊直惟の行列が街道を行きます。夏目外記が井伊直惟に呼ばれ行列を止めます。直惟が夏目に「新吾様は」と聞くと、「行列と一緒では窮屈でかなわんと仰いまして」と答えると、「大丈夫かな、逃げられたのではあるまいな」と言う直惟に、「はい、ご心配にはおよびません。六平太が付いております」と夏目が答えました。
行列から離れた新吾は六平太の姿が茶店にありました。
新吾 「では、このへんで逃げ出すか」
と新吾が言ってきたので、「 それはいけませんよ
」と六平太、「いったん井伊様とお約束なされたことを」と言うと、
新吾 「いや、わしは四明嶽の多門先生に詣で、秩父の老先生にも ご報告せねばな
らん
」
六平太「でも、 彦根は四明雅嶽の途中
ですよ」
新吾 「 六平太
、お前はさかんに彦根行きを勧めるが、 誰かに頼まれたな
」
六平太は「いいえ」ととぼけますが、新吾はお見通しです。




新吾 「 直惟公の頼みと
いうのは、恐らく 父上との仲を取持とうというのであろ
う
」




六平太は、約束通り 彦根までは参りましょう
、と。
六平太「 井伊様の御頼みが何であれ
、先生がおいやなれば そのときお断りになれ
ば
」
これには、新吾もまいった様子、
新吾 「 お前がその気
では、 逃げ出すわけにもいかんな
」






諦め新吾が馬鞭を置いたとき、「ごめん下さいまし」と 女が声をかけてきます
。

女は、彦根までご一緒させていただけないかといってきましたので、新吾が「 お一人か
」とその女に聞くと「はい」と答えると「あら」と言い六平太に何やらいいながらぶつかっていきます。新吾はその女が声をかけてきたときから誰であるか気がついていたようです。

六平太はその女に興味を持ったようで、「女の一人旅は大へんでしょう。うううん、よろしい・・・」と女に言い、「でしょうな」と 新吾の顔色を
見ます。その新吾は 呆れて笑いを浮かべ
ると お茶を飲みながら黙って見ています
。







六平太は「ところでだ、 あなた
・・・ あなたどっかで
」と言いかけ女の顔を見て、
六平太「拙者の顔を ご存じないか
」
女は「 いいえ
」と答え、新吾はおかしくてしかたのない様子で六平太を見ています。



六平太「 確かに
、 どっかで
」
と思い出せずにいる六平太に、
新吾 「 思い出せぬか
」
と聞く新吾に
六平太「先生は、ご存じですか」
新吾 「 うん
」
そう言い鳥追笠から見える 女の顔を見ると
、 女は顔を伏せます
。




新吾 「まだ分らんのか」
のぞき込むようにして女を見ますが、分らない様子の六平太に、
新吾 「 吉原の宿の
」
やっと分り「あっ、貴様」と六平太が気がつき、女は「すいません」と謝り、 わざわざ女に化けたり
して、と文句をいった六平太に、女が好きな六平太さんだからと・・・そして、その男も新吾のお供の加わりました。



続きます
。
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