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江戸幕府の八代“暴れん坊”将軍の年収は1294億円であったということです。
その将軍に勝るとも劣らない1000億円超の年収を稼いでいた人物がいたそうです。
”江戸の長者番付 ”(2017年3月 青春出版社刊 菅野 俊輔著)を読みました。
歴史資料に基づいて、江戸時代の様々な職業の年収を明らかにしています。
菅野俊輔さんは1948年東京都目黒区生まれ、早稲田大学政治経済学部卒業、3度の食事より江戸の咄が大好きという江戸文化研究家です。
現在、早稲田大学エクステンションセンターや毎日文化センター、読売・日本テレビ文化センター、小津文化教室などで、講師を務めています。
江戸のくずし字や江戸学など、江戸を楽しむというテーマで、講演、著述、テレビ・ラジオ出演など多方面で活躍しています。
もともと、番付は大相撲における力士の順位表で、正式には番付表といいます。
ここから転じて、その他さまざまなものの順位付けの意味でも用いられています。
長者番付は、今でいう高額納税者公示制度です。
この制度は、政府が数千万~数億円単位の高額納税者を2006年まで公示していました。
公示された高額納税者の名簿は、一般的に高額納税者番付や長者番付として用いられました。
2005年4月1日から個人情報保護法が全面施行されたことを受け、この制度は廃止されました。
むかしの東京、江戸は、失われたワンダーランドで、たくさんの謎がありました。
江戸の長者番付とお金持ち事情は、その最大の謎といえます。
江戸は、18世紀の前半に100万都市になりました。
徳川将軍家の城下町であるため全国の大名や旗本・御家人の屋敷が並び、江戸の範囲といわれる四里四方の6割の広さに50万人の武士が住んでいました。
残りのうち、2割が寺社で、僧侶や神官が暮らしていました。
そして、残り2割の地に、50万の町人が住んでいました。
それゆえ、住宅に工夫を施した結果、裏店とよばれる集合住宅の長屋に7割の35万人が住んでいました。
御三家の紀州家から8代将軍となった徳川吉宗と町奉行の大岡忠相越前守が江戸の改革に努め、18世紀の後半は、江戸っ子にとって住みやすい大都会になりました。
歌舞伎や出版、料理ブームなど、いかにも江戸らしいユニークな文化がおこり、彩色の浮世絵も誕生しています。
19世紀になると全国的に旅ブームが到来し、武都の江戸は、古都の京、商都の大坂とともに三都と呼ばれ、観光都市になり、全国からたくさんの人びとが訪れました。
江戸のお金は複雑で、金・銀・銭の三貨があり、それぞれの単位が違っていました。
金貨は高額貨幣、銀貨は中間で、銭貨は低額貨幣で、19世紀に通用した貨幣には、一両小判、一分金と一分銀、一朱金と一朱銀、四文銭と一文銭などがありました。
18世紀の後半から、金貨と同じように貨幣一枚の価値が統一された計数貨幣も鋳造されるようになりました。
長屋住まいの江戸っ子は、文を単位とする銭貨で暮らしていました。
旅に出かける人は、小粒とよばれた一分銀や一朱銀をたくさん持ち、道中で銭に両替して、草鞋代、団子代、旅龍代などを払っていました。
本書では、金一両=約16万2000円、銀一匁=約2700円という算出で、今のお金に換算しています。
江戸には武士と町人が生活していて、武士の給料・収入は百石とか百俵というように米が基準となっていたが、町人の給料・収入はお金でした。
時代がくだると貨幣経済が進展し、武士も自家用分を除いて換金するようになりましたが、給料・収入がお金に変わることはありませんでした。
農村に住み、田畑を耕して米や野菜を生産する農民は、税金の年貢を現物で納めていましたが、時代がくだると畑作での収穫の分をお金で納めるようになりました。
そんな江戸時代に、人びとは、どのくらいの給料・収入を得て、どのように豊かな、あるいは、慎ましい生活を送っていたのでしょうか。
将軍・大名から下級武士、長屋に住む町人、歌舞伎役者、花魁、豪商まで、そのフトコロ事情を丹念に探ってみたということです。
ついに発表、江戸の長者番付ベスト10。
1位.吉宗 1294億円、2位.加賀前田家 1134億円、3位.越後屋 17億円、4位.寛永寺 7億3710万円、5位.大岡忠相奉行 2億2226万円、6位.歌舞伎役者 1億7820万円、7位.銀座大黒常栄 1億3300円、8位.花魁 1億2960万円、9位.長谷川平蔵 1億230万円、10位.奥女中 3502万円、次点.杉田玄白 2268万円。
1章 江戸の長者番付ベスト10―年収“億”をはるかに超えるお金持ちたちがズラリ
2章 江戸時代、あの職業・この商売の意外な給料事情―貧乏武士は年収100万円以下、町人・農民は意外にも…
3章 比べてビックリ!江戸のおもしろ給料比較―大岡越前と鬼平、金持ち大名と貧乏大名、千両役者と花魁…
4章 江戸っ子はなぜ、“宵越しの金”を持たなくても生活できたのか-長屋暮らしの庶民はいくら稼いで、どう使っていた?
5章 江戸の超大金持ちたちの華麗なる(?)生活-将軍とその妻から、百万石の大名、豪商、義賊まで
6章 じつは一番貧しかった?武士の悲しいフトコロ具合-傘張り、金魚飼育、朝顔づくり…欠かせぬ内職で生活費はハウマッチ?