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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2019.05.11
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 軍事技術、セキュリティ、自動運転技術関連開発力から第2のシリコンバレーと呼ばれ、毎年1000社を超すベンチャーが起業するイスラエルは、米国に次ぐイノベーション大国です。


 ”イスラエルがすごい マネーを呼ぶイノベーション大国”(2018年11月 新潮社刊 熊谷 徹著)を読みました。


 1948年の独立からおよそ70年で産業を大きく成長させ、近年ではITやテクノロジー、医薬品の分野で目覚ましい発展を遂げています。


 成長著しいハイテク国家として躍進しているイスラエルを紹介しています。


 ベンチャーキャピタルのGDP比率は日本の約10倍で、そこに急接近するのがドイツと中国です。


 熊谷徹さんは1959年東京生まれ、1982年早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局し、ワシントン支局勤務中に、ベルリンの壁崩壊、米ソ首脳会談などを取材しました。


 1990年からはフリージャーナリストとして、ドイツ・ミュンヘン市に在住しています。


 過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けています。


 イスラエルは中東に位置し、エルサレムを首都とする、面積20770平方キロ、人口888万人の国です。


 四国よりもやや広い面積の国土に、埼玉県と同程度の人口を持っています。


 イスラエルは首都をエルサレムと主張していますが、国際的には認められておらず、日本を含め各国はテルアビブに大使館を設置しています。


 もともと、第一次世界大戦時にイギリスが、ユダヤ人の国の建国を約束と引き換えに戦争協力を求めたことがきっかけで誕生しました。


 第二次世界大戦後の1948年、パレスチナにイスラエルが建国されました。


 しかし、第一次大戦時にイギリスはアラブ人にも同様の約束をしていたため、結果として原理主義者による反発から衝突が起こることとなりました。


 アラブ人のパレスチナ人とユダヤ人の間で、たびたび多数の死者が出る戦争・事件が起きています。


 イスラエルは、近年、中東のシリコンバレーとも呼ばれ、テルアビブでは、超高層オフィスビルに高級マンションが次々に建設され、分譲マンションが飛ぶように売れています。


 テルアビブをグローバルなスタートアップ都市にしようとして、ベルリン、ロンドン、パリ、ニューヨークなどの都市との起業家同士の交流を積極的に行う機会を提供しています。


 市が世界中の名門大学のIT研究施設を誘致するなか、国を超えたイノベーションを生み出そうとしています。


 世界の大企業が優秀なスタートアップ企業に注目し、新たなスタートアップが立ち上がるという独自のサイクルを繰り返しながら着実に成長する土台を築いてきました。


 グーグルのサジェスト機能など、世界で知られている先端技術の中にはイスラエル発のものが数多くあります。


 インテルは1974年からR&D拠点をイスラエルに設置し、同社発の最先端技術の数々は、イスラエル人科学者とエンジニアの存在が不可欠でした。


 マイクロソフトも2006年に、アップルも2013年の最初にR&D拠点を設置しています。


 特に力を入れているのがサイバーセキュリティの分野で、イスラエルは世界有数のサイバーセキュリティの先進国です。


 サイバー犯罪、オンライン不正行為の防止と検知、スパイ行為の阻止、ダークネット対策、教育プログラム、重要インフラ施設の保護などを網羅しています。


 21世紀に最も重要な資源は、石油や天然ガスではなく知識と独創性です。


 多くの日本人は感じていないかもしれませんが、世界中で知的資源の争奪戦が始まっているのです。


 今年建国から70周年を迎えたイスラエルは、知恵を武器として成長する国の代表選手です。

 欧米では2010年頃からイスラエルに対する関心が急激に強まっており、多くの有名企業がこの国に投資して、独創的なテクノロジーを持つ小企業を次々に買収しています。


 今日イスラエルは、米国のシリコンバレーに次いで、世界で2番目に重要なイノベーション拠点となりました。


 米国やドイツだけではなく、中国が近年イスラエルとの関係を緊密化しています。


 貿易額、投資額ともに急速に増えつつあるのです。


 経済のデジタル化を進める中国は、イスラエルのテクノロジーを吸収しようと必死です。


 日本では、イスラエルの変貌や、同国に殺到する欧米企業、中国企業の動きについて詳しく知っている人は数少ないです。


 イスラエルという国名を聞くと、大半の日本人はハイテク大国というイメージではなく、テロや戦争が絶えない危険な国と考えてしまうのではないでしょうか。


 イスラエルにテロの危険があることは事実ですが、それだけでこの国を判断することはできません。


 テロの危険は欧州や米国も同じことです。


 日本人が旧態依然とした先入観にしがみついていたら、イスラエルというハイテク立国をめぐる国際的な潮流に取り残される恐れがあります。


 日本の一部の大企業は、2017年頃からイスラエルの重要性に気付き始め、資本参加や拠点の設置を始めましたが、欧米や中国に比べて大幅に出遅れたことは否めません。


 著者は、国際情報に対する視野狭窄症が日本社会に広がっていることに、強い危惧を抱いているといいます。


 経済のグローバル化と国際政治の多極化、不透明化か進む今日、最も重要な姿勢は政治と経済の両方を視野に入れることです。


 我々は、政治と経済の両方を見据えながら、自分の意見を持つことを迫られています。


第1章 中東のシリコンバレー-日本人が知らないイスラエル/第2章 イノベーション大国への道-国家戦略と国民性/第3章 恩讐を超えて-関係を深めるドイツ/第4章 急接近する中国-一帯一路だけではない/第5章 出遅れた日本-危機とビジネスチャンス/参考文献






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Last updated  2019.05.11 05:13:26
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