心の赴くままに

心の赴くままに

PR

Profile

kishiym

kishiym

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Comments

cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2020.01.11
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 心房細動は、心臓の中でも心房という部位で異常な電気信号が起こることが原因で生じる不整脈です。

 “心房細動のすべて-脳梗塞、認知症、心不全を招かないための12章 ”(2018年12月 新潮社刊 古川 哲史著)を読みました。

 不整脈の王様と呼ばれ、脳梗塞、認知症、心不全の原因にもなる心房細動について、患者や家族が知っておくべき基礎知識、最新治療法、予防のための生活習慣を解説しています。

 加齢や弁膜症、高血圧症などが原因で、動悸・ふらつき・失神などの症状が続いて心不全になると、息切れやむくみなどが出現します。

 心房が洞房結節の刺激によらずに速く部分的に興奮収縮し、規則的な洞房結節の活動が伝わらず、心室の収縮が不規則な間隔で起こります。

 患者数は約170万人で、田中角栄、長嶋茂雄など、罹患した著名人も多いそうです。

 古川哲史さんは1957年東京都生まれ、1983年に東京医科歯科大学医学部を卒業し、1990年に同大学院博士課程を修了し、1989年に医学博士となりました。

 1995年に東京医科歯科大学難治疾患研究所助教、2000年に秋田大学医学部助教授を経て、2004年に東京医科歯科大学難治疾患研究所先端分子医学研究部門生体情報薬理学教授となりました。

 心房細動は不整脈の一種です。

 不整脈は心臓の脈拍が正常とは異なるタイミングで起きるようになった状態のことで、脈が速くなる「頻脈」、脈が遅くなる「徐脈」、予定されていないタイミングで脈が生じる「期外収縮」があります。

 不整脈の緊急度や治療方法は千差万別です。

 健康な人にも生じる不整脈は健康被害はなく、放置しても問題ありません。

 一方、命にかかわる不整脈も存在し、この場合は積極的な治療介入が必要とされることがあります。

 心房細動は非常に患者数が多く、21世紀の心臓の流行り病といわれています。

 特に高齢者に多く、超高齢化社会を迎えた我が国では社会問題となりつつあります。

 心房細動では、脳梗塞を合併することが最大の問題です。

 なぜなら、心房細動に合併する脳梗塞は特に重症となり、12%の人が数日で亡くなり、40%の人が寝たきりあるいは要介護となるからです。

 現在では脳梗塞の予防法は飛躍的な進歩を遂げ、心房細動だと分かっている人ではかなりの確率で脳梗塞を予防することができるようになりました。

 そこで新たな問題となってきているのが、心房細動だと診断がついていない潜在性心房細動(隠れ心房細動)です。

 隠れ心房細動の患者は日本に約80万人いるといわれ、脳梗塞の予防が行われませんので、高頻度で脳梗塞が起こります。

 例えば、元巨人軍監督の長嶋茂雄さんも、隠れ心房細動か原因で脳梗塞を発症してしたそうです。

 隠れ心房細動の患者を見つけ、脳梗塞を予防することが現代医学の大きなチャレンジなのですが、2018年時点では有効な方法は残念ながらありません。

 また、心房細動の治療はかなり進歩したことから、時代は心房細動の治療から予防へとシフトしつつあります。

 心房細動は、生活習慣病の一種であり、生活習慣の改善である程度予防できます。

 しかし、どのようにしたら心房細動の発症を予防できるかについては、十分周知されていません。

 そこで、まず心房細動とはなんぞやを説明し、後半で隠れ心房細動を見つけるためには、心房細動にならないためには、の2つの重要テーマを取り上げて説明したいということです。

 心臓は、心筋細胞における電気信号をもとにして、規則正しさが保たれています。

 心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれており、右心房に存在する洞結節が電気信号の基点となる部位です。

 洞結節から発せられた電気信号は、右心房から左心房、両心室へと順次伝わります。

 この順序だった電気活動が乱れたり、遅くなったり、速くなったりすると不整脈が発生します。

 不整脈にはたくさんの種類があり、多くの医師にとっても苦手な病気の1つだそうです。

 医師は専門でない病気でも診なくてはいけない時があるようですが、専門でない医師にとってできたら診たくないと感じる病気がいくつかあるそうです。

 それは、白血病、神経変性疾患、および不整脈が3大疾患ではないかという気がする、といいます。

 著者が研修医だった35年前、白血病はとにかく治療が難しい病気でした。

 ローテーションで血液内科を回った当時、本当に白血病は治らず、日々無力感を感じていました。

 幸い今では、ずいぶん治療法が進んだと聞いていますが、そうはいっても専門家以外の医師にとっては、できれば診たくない病気の1つではないでしょうか。

 神経変性疾患の代表はパーキンソン病やアルツハイマー病などです。

 これらは、血液検査やレントゲン写真、CTなどの客観的な検査ではなかなか診断を付けることができません。

 不整脈も、白血病や神経変性疾患などと同じように、専門以外の医師には敬遠されがちです。

 治療が難しい、診断が困難という以外に、不整脈の中には一瞬で死に直結するという怖さを併せ持つものもあるそうです。

 不整脈の分類は基本的に2つの観点から行われます。

 1つは不整脈の起こる場所、もう1つは不整脈の性質(重症度)です。

 そして、不整脈の名前は、不整脈の起こる場所と不整脈の性質(重症度)という2つの要素の足し算で付けられます。

 まず不整脈の起こる場所によって「心房○○」、「心室△△」という不整脈の名前が付けられ、2つに分類されます。

 次に性質(重症度)ですが、これは心室、あるいは心房が興奮する回数によって次の4つに分けられます。

 頻拍、粗動、細動、期外収縮です。

 この2と4から、8タイプが不整脈の基本形となります。

 また、虚血性心疾患や心臓弁膜症などを原因として電気伝導路に異常が生じると、治療が必要な心房細動や心室細動などの不整脈を呈することがあります。

 その他、先天的な遺伝子異常、電解質異常、薬剤の副作用などによりQT延長症候群という状態を起こすがあります。

 QT延長症候群の状況下では、トルサード・ド・ポワンツと呼ばれる危険な不整脈を呈することもあります。

 心房細動は非常に多くの人が罹患していて、有名人で心房細動にかかったことが公表されている例もいくつか知られています。

 心房細動は脳梗塞を高い頻度で合併し、その脳梗塞が重症化しやすいことが大きな問題です。

 心房細動は特に高齢者に高頻度に発症し、患者の生活の質を著しく低下させますので、超高齢化社会を迎えているといわれる日本では、大きな社会問題となりつつあります。

 隠れ心房細動の発見や心房細動の予防は、医療機関側の努力だけでは達成できません。

 皆さんと医療機関側の共同作業で初めて達成できるチャレンジです。

 そこで、皆さんと是非情報を共有して、心房細動にならないため、脳梗塞にならないため、ひいては健康な老後を送るための一助に本書がなることを、心から願っている、といいます。

第1章 不整脈の王様! 心房細動の正体を探る/第2章 どんな人が心房細動になりやすいのか/第3章 3大症状「動悸」「めまい」「息切れ」と無症状/第4章 3大合併症「脳梗塞」「認知症」「心不全」/第5章 どうやって見つけるか/第6章 断固戦うか、共存するか―心房細動の治療/第7章 カテーテルアブレーションという治療法/第8章 脳梗塞をどう防ぐか/第9章 隠れ心房細動をどうやって見つけるか/第10章 心房細動を予防する6つの生活習慣/第11章 心臓の老化を防ぐ食事の鍵はポリアミン/第12章 進化した心臓





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2020.01.11 07:47:09
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: