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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2020.01.04
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 タワーマンションはタワマンとも呼ばれ、普通のマンションと比べて際立って高いマンションであり、建築基準法などの構造基準の違いから、階数にしておよそ20階以上であることが決められています。

 一般的には、高さ60m以上のもの、または環境アセスメント条例が適用される高さ100m以上のものを指しています。

 超高層建築物は一般的な建築物と違い、国土交通大臣の認定を受けることが義務付けられていています。

 ”限界のタワーマンション”(2019年6月 集英社刊 榊 淳志著)を読みました。

 タワーマンションは眺望の良さや豪華な共用施設に目を奪われますが、大規模修繕、災害リスク、子育て環境、健康影響、資産価値などで限界にきているといいます。

 著者は、タワマンでの実際の暮らしぶりや、タワマン住民と非タワマン住民の間の溝、交通・保育園・学校の整備状況などを調査し、タワマンは人間の住み家としてふさわしいのかと問題提起しています。

 榊 淳司さんは1962年京都市生まれ、同志社大学、慶應義塾大学文学部を卒業し、1980年代後半のバブル期以降、四半世紀以上に渡ってマンション分譲を中心とした不動産業界に関わりました。

 一般ユーザーを対象に住宅購入セミナーを開催するほか、新聞や雑誌に記事を定期的に寄稿し、ブログやメルマガで不動産業界の内幕を解説しています。

 1997年に容積率の緩和が盛り込まれた建築基準法の改正が行われ、これまでよりも高く大きな建物が建てられるようになりました。

 その後次第にタワーマンションが増えてきて、まず都心の再開発エリアで、2000年代前半には湾岸エリアで、そして2010年以降は東京湾の埋め立てエリアへ拡大しました。

 2010年ころからは、地方都市や東京郊外エリアへ広がっていきました。

 タワーマンションの魅力の第一は高層階からの眺望でしょう。

 高層階から見渡す景色は素晴らしく、昼でも夜でも心を気持よくしてくれます。

 山に登った時に感じる、視界を遮らない気持ちよさを、タワーマンションでは毎日味わう事ができます。

 カーテンをしなくても外から人に見られるとはなく、開放的であり、風通しがよく、日当たりも最高です。

 東京ではタワーマンションの夜景は本当に素晴らしく、街にはダイヤモンド級の光が溢れ、それを眺めながら過ごす生活は代えがたいものです。

 都会の摩天楼を見下ろす生活はセレブのそれと同義であり、高額なタワマン住戸の所有者であることは輝かしいことかもしれません。

 また、高層階からの眺望だけではなく、施設内にある使って良い施設が充実していることもあげられます。

 たとえば、プールやフィットネスジム、パーティールームやゲストルーム、バーなども付いているタワーマンションが多いです。

 高層マンションを活かし、上階にてパーティー等が時間貸しできる施設があり、利用できるジム・プールがマンション内にあり利用できます。

 友人や地方からの家族などが遊びに来たとき、格安でそのマンション内のゲストルームに宿泊ができます。

 最近では、駅直結やスーパー・保育園など複合施設と直結のタイプや、温泉付マンションで自分のお風呂の蛇口を捻ると温泉が出る等の新たな魅力をもったタワーマンションが続々と登場しています。

 高層階は特に、虫が殆どいないため窓を開けても虫の飛来を恐れる必要がなくなります。

 空に近いほどカラっとして風も強く、夏でも窓を開けていると快適に過ごせます。

 冬は日差しが部屋を暖めてくれますので、心地良い季節を過ごすことができます。

 タワーマンションの多くは、エントランスが広く、地震の重さに耐えれる構造の素材が使われているため、とても豪華な材質で作られています。

 さらに、コンシェルジュのサービスが付いているタワーマンションが多く、御用聞きとして何かと便利な生活を送る事ができます。

 これらのことから高くそびえ立つ、設備も整ったタワーマンションに憧れるユーザーも多いようです。

 日本で最初のタワーマンションは埼玉県の与野ハウスで、高さ66mの21階建て、総戸数463戸です。

 1976年に建てられ、エントランスや中庭が広く、木々が生い茂り、敷地内に幼稚園があるなど複数の施設が入った集合住宅となっています。

 当時としてはたいへん画期的な設計で、当初は周辺で与野ハウスのみが高くそびえ立ち、ランドマーク的な存在でした。

 中には、スーパー、ドラッグストア、本屋、コンビニ、ショッピングモールがあり、今ではさいたまスーパーアリーナや、コクーンシティができ、大変賑わった地域に立っています。

 しかし、著者は、分譲タワーマンションの建造は、日本人の犯している現在進行形の巨大な過ちであるといいます。

 この本を書くために、何年もの時間を費やしてタワーマンションについてのさまざまな資料を集め、取材を重ねました。

 その結果、タワーマンションという住形態がかなりのレベルで不完全かつ無責任なものであるという現実を、目の前にまざまざと突き付けられたそうです。

 もしかしてこれは、旧約聖書に記されたバベルの塔の建造に等しい、日本人の犯している壮大な過ちではないでしょうか。

 バベルの塔を造ろうとした人類は神の怒りを招き、その結果、人類は恐ろしいばかりの分断を招いてしまいました。

 この神話は日本の未来を暗示しているように思えます。

 タワーマンションを購入し、住んでいる人にも近い未来に恐ろしい不幸がやってくるのではないかと考えているそうです。

 そのことをほとんどの人は気付いていません。

 ましてや、多額の費用を払ってタワーマンションを購入し、そこに嬉々として暮らしている人は、この不都合な現実から目を背けています。

 規模の大きなタワーマンションは一見華やかです。

 しかし、それはあくまでも一見です。

 マンションの区分所有者には、その住戸に住めるという権利とともに、義務も生じてきます。

 そのマンションを保全するための費用を負担し、時には必要な業務を担う、という責務が課せられます。

 管理費や修繕積立金を支払い、順番が回ってくれば管理組合の理事や理事長としての責任を果たすことになります。

 タワーマンションは、その建築構造上の宿命として高額な保全費用がかかります。

 タワマンの保全に必要な修繕費は、通常のマンションである板状型に比べて二倍以上です。

 さらに、その額は、おおよそ15年に一度の割合で必要とされます。

 築30年ほどでエレベーターや給排水管の交換が必要になってきます。

 タワーマンションは、外壁の修繕工事を行わなければ雨漏りが発生しやすい建築構造になっています。

 したがって、定期的な大規模修繕が欠かせません。

 しかし、そのための積立金が不足しているタワマンが実はかなり多いのではないでしょうか。

 積立金が不足すれば、臨時に徴収するか、銀行から借り入れるしかありません。

 そのことに、数百から数千戸単位の住民同士が合意形成できるのでしょうか。

 約15年後、2回目の大規模修繕工事を行うことができないタワマンは、雨漏り、あるいは給排水やエレベーターの不具合などで、かなり住みにくい状態になる可能性が高いです。

 もちろん、資産価値も急激に低下します。

 さらに、タワーマンションは人間の健康や成育に看過できない悪影響を及ぼしている可能性もあります。

 著者は、あらゆる意味でタワーマンションという住形態は限界にきているといいます。

 そういった観点から、多くの日本人が住みたがっているタワーマンションという住形態の、さまざまな死角に光を当てています。

序章 タワーマンションが大好きな日本人/第1章 迷惑施設化するタワーマンション/第2章 タワーマンション大規模修繕時代/第3章 災害に弱いタワーマンション/第4章 タワーマンションで子育てをするリスク/終章 それでもタワーマンションに住みますか?





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Last updated  2020.01.04 05:44:34
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