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待ってたもんね。 こえめ
です![]()
かくれんぼで恐い思いをした実夏。( 前のお話 )
あの部屋にはいったい何が?
その正体、知りたいような
知りたくないような……。
―6―実夏
あたし達、二人羽織するのをやめて
さっきのお化けの話をこわごわしながら、
また真矛の家に戻っていったの。
あたし、リカさんのこと、
真矛の本当のおばあちゃんだって、
ずうっと思っていた。
最初の頃、ママに聞いたら、
「まだ若いから、おばあちゃんって呼ばれるのが嫌なんじゃないの?」
って言ってたし、
そういうものかと子供心に納得して、
それきり聞かなかったの。
だから、リカさんが
真矛の家の、住み込みのお手伝いさんだったなんて、
二年以上も知らなかったのよ。
ほとんど毎日会ってたのに。
ねぇ、よく知ってるはずの人のことを、
実は全く勘違いしていたなんて、
みんなもよく、あることなの?
真矛の家に着いたとき、リカさんはまだいなかった。
家に入る勇気なんて二人ともないから、
お庭のベンチを道路側に寄せて、座って待っていたの。
そのうち リカさんが帰ってきたので、
お化けの話をしたら
ちょっと考えてから
何かに気づいたみたいで、
あたしが何を見間違えたのか、わかったって言うの。
「ばれたんじゃ仕方ないわね」って
少し困ったように笑っていたわ。
何のことかさっぱり分からないないあたし達は
それから、リカさんに背中を押されて、
例の部屋の前に連れて行かれたの。
あの部屋の掃除をした後、カギをかけるのを
忘れたんだって。
リカさんが一緒だと、
さっきの廊下も、
安全な場所に思えたわ。
それでも、もし何かいたら、
今度こそ悲鳴を上げてやるつもりでいたのに、
明かりをつけた部屋の真ん中には、
仕立て屋さんみたいに、
胴体だけのマネキンが
純白のドレスを着て立っていた。
とも綺麗な、ううん、
小学生のあたしでさえ
「美しい」って感じたほど素敵なドレスよ。
「ねぇ、これ誰の?」
って真矛が聞いたら
リカさんは、その質問に答える代わりに
「真矛も着てみたい?」
って聞きかえしたの、とっても優しく。
その時わかった。
あぁ、これは真矛のママのドレスだったんだ、って。
でも多分その時は、もう、真矛のもの。
それから、リカさんはあたしにも優しいけど、
彼女もやっぱり、真矛のものなの。
ドレスを見上げている二人を見て、
あたし何だか、
ちょっとさびしかったな。
(つづく) ( 次のお話 )
魔法の真矛ちゃん(16)実夏 March 20, 2009
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