フリーページ
情緒の現われやすさを変えることで、性格を変えるという話をしました。ある情緒が現われやすくなるということは、情緒の表現能力が伸びたということです。つまり、情緒の表現能力を変えることで、性格を変えることが出来るのです。
情緒の表現能力は、主に2つの要因によって決まります。1つは、生まれつき持っている能力です。ある赤ちゃんは、緊張性の情緒を強く表します。固い感じで強く泣き続けたり、喜ぶ時にも身体や声を固くして表現したりします。その赤ちゃんは、生まれつき緊張性の情緒の表現能力が高かったと言えます。ある赤ちゃんは、手足をバタつかせて泣いたり笑ったりします。強くは泣いても、それほど長続きはしません。身体を動かすことで不快感を発散させてしまうのでしょう。動きも活発で落ち着きのない感じです。その赤ちゃんは、生得的な興奮性の情緒表現能力が高かったと言えます。生後6ヵ月以降になりますが、リラックスした笑いを多く示す赤ちゃんがいました。その赤ちゃんは、人によくなつき、気持ちの切り替えがうまい子でした。その赤ちゃんは、もともとリラックスした情緒の表現能力が高かったと言えます。
生まれつき持っている情緒の現われやすさが違うために、大人であっても情緒の現われやすさは人によって違います。緊張性の情緒が現れやすい人は、いろいろな場面で緊張性の情緒が現われます。美味しい食べ物を食べた時、多くの人はリラックスした喜びを現わしますが、その人は緊張した喜びを示すことになります。赤ちゃんの時から興奮性の情緒が現れやすい人は、乳児期、幼児期を通じて活発な動きや積極的な社交性を示しますが、大人になってからも、活発な仕事ぶりを発揮しやすいものです。
しかしながら、生得的な能力でありながら、人生の途中から現れる情緒的能力もあります。特に思春期のころにそれまで見られなかった性格が現れてくることがあります。思春期は第二次性徴の時期であり、ホルモンの分泌に変化が起こり、情緒の現れ方に変化をもたらすことがあるのです。割とのんびりした子どもであったのが、思春期になって物事を真剣に考えるようになることがあります。緊張性の情緒が強く現れるようになったわけです。また、それまで真面目で素直な子どもであったのに、思春期になって自分の感情を表現しやすくなり、親には反抗的になる場合もあります。興奮性の情緒が顕著になったと言えます。このような思春期の変化は、経験に基づく変化という面もないとは言えませんが、どちらかと言うと内面から起こる変化と言えます。そして、ある程度年齢を経てから現れる性格の変化も、生まれつき定まっていた情緒能力の変化に基づくものと言って良いかと思います。
常識的判断も情緒が支えている 2025年11月26日
情緒起源の認知(2) 2025年11月19日
情緒起源の認知 2025年11月12日
PR
キーワードサーチ
コメント新着