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情緒の現われ方には、情緒経験の強さが関係しています。2つ以上の情緒経験を引き起こすキッカケがある場合、強い情緒経験と結びついているキッカケの方が優位に感じられるということです。例えば、リンゴを思い浮かべていい気分になったとしても、とても嫌いなヘビが目の前に出てくると、嫌な気分になってしまいます。リンゴによって想起されるいい気分の強さよりも、ヘビによって想起される不快感の方が強いために、経験される情緒は不快感となってしまうのです。
ですから、棒が頭に当たって不機嫌になっているときに、「私は、成功する」と考えても、不機嫌さの方が勝ってしまいます。「私は、成功する」という考え方によって起こる快感が弱いからと言えます。そして、不機嫌な時に「私は、成功する」という考えをして、「私は、成功する」という考えと不機嫌さが結びついてしまうと、「私は、成功する」と考えると不機嫌になってしまうということも起こります。特定のキッカケによって起こる情緒経験が変化してしまうということがあるわけです。勉強嫌いの子が、「勉強するといいことがある」と言われ、嫌々勉強していたら、「勉強するといいことがある」と言われることで嫌な気持ちになってしまいます。「勉強するといいことがある」という言葉は、内容は良い意味を持っているのですが、不快感と結びつくと、その言葉を聞くだけで不快になってしまうのです。これが、なかなか理屈だけで物事がうまく行かない原因の1つです。理屈に含まれる良い印象が、悪い印象に置き変わってしまうわけですから、その理屈を聞いて逆にやる気をなくすことになるのです。この場合、良い情緒を増やして、その理屈と結びつけることが大切となります。
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