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情緒を引き起こすイメージは、直接的な情緒的経験から生まれるだけではありません。架空の話を聞いたり、映画で見たりして情緒経験が起こる場合もあります。例えば、アクション映画を観て、勇ましい主人公になった気分になると、もともとは臆病な人でも、自分を勇ましいと感じるようになることもあります。主人公の果敢な行動に感化されて、自分も大胆な行動がとれるような気がして大胆な性格になることもあります。代理的な経験や特定の情緒を引き出しやすい物語や絵によっても、情緒がイメージと結びつくこともあるのです。その結果、映画やテレビに登場する典型的な怖そうな顔の人を見ると、実際に恐怖経験をしていなくても、怖さを感じることになります。
イメージと情緒が強く結びつくと、イメージに結び付く言葉によっても、情緒経験が現れてきます。例えば、「橋」という言葉を聞いたり思い出したりすることによって、いい気分になるわけです。言葉によって情緒経験が生じることになります。言葉のつながりで形成される「考え方」によっても、情緒経験が起きるようになってきます。「私は、成功する」と考えることで、いい気分になるわけです。言葉によって、空想の文脈を作り、情緒を想起させることが出来ることになります。
情緒的経験は、時が過ぎると情緒的記憶として残ります。その情緒的記憶が、知覚、イメージ、言葉と結びついており、それらをキッカケとして情緒的記憶が想起され、人は情緒的経験をすることになります。このことから、緊張性の情緒が現れやすい人は、それに関わる情緒経験をしなくても、知覚、イメージ、言葉、考えなどによって、常時緊張性の情緒を経験し続ける場合があるということです。
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