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前回に引き続き今回もシューマンの作品を取り上げてみたいと思います。私は歌曲と同じようにシューマンのピアノ曲も大変敬愛しています。特に好きな作品は「クライスレリアーナ」「幻想曲」そして今日ご紹介する「子供の情景」です。この3つの曲集はそれぞれをここ数年で必ず演奏したいと考えています。皆さんのお好きな曲は何がありますか?シューマン◇「子供の情景」より トロイメライ19世紀になると音楽と言葉のつながりが大変重要になりその結果世界各地で作品と演奏についての批評がとびかうようになりました。その中心人物であったのがこのシューマン。シューマンは「ライプツィッヒ音楽新報」という雑誌の編集長、かつ主要所有権者となりました。そのため後に「音楽新報」と改名され、「シューマンの雑誌」とも言われていました。シューマンは音楽的な先駆者であったバッハとベートーベンを常に模範としていたとの事。後の1855年、リストがシューマンの活動に対して下記のように語っています。(シューマンはこの頃は亡くなる少し前、すでに精神の破綻が更に悪化して療養所生活を送っていました)「シューマンは文学を音楽に近づけた。彼は実際にそのことを証明することができ、もっとも重要な音楽家であると同時に著述家でありえた。・・・・・シューマンは二つの国の住人だった。そして隔絶した地域の住人たちにある突破口を開きこれによって少なくとも個々の仲介者が互いに関心を交わすことができるようにした。・・・・・そうした種類の先駆者である。」リスト著作集より(1882年)シューマンの交友関係はリストをはじめ、特に大きな存在であったのがショパンとメンデルスゾーンだったのです。同世代のピアニスト、音楽家同士どんな話をしてお互いを高めあっていたのでしょう。想像するだけでロマン派の香りに包み込まれます。ただこの二人はシューマンより先に亡くなってしまっています。さぞ親友の死は大きな影響をもたらしたことでしょう。 ルードヴィッヒ・クナウス(1820-1910)◇野原の少女さて本題の「子供の情景」ですが1837年に作曲されました。全13曲の愛らしい曲集です。経緯としては1832年頃から後に妻となるクララとの結婚がクララの父親の反対、抵抗を受け(それはどんどんエスカレートして妨害、嫌がらせに近く最後は裁判までいきました)スムーズに運べず切迫した思いですごす中、それでもシューマンの作曲書法の進展を促すことになったとの事。この1837年代はピアノ曲を沢山書いていますが、それまでの作品は難解と批評された事に対して、この曲集は芸術性と親しみやすさが良いバランスで聞き手に分かりやすいと評判になりました。ただし、子供の学習用の作品とは違い「子供の心を描いた、大人のための作品」です。中でもトロイメライはこの曲集の中心であり最も有名です。ドイツ語のトラウム=「夢」からの派生語で「夢見心地」という意味です。最初のモチーフのメロディーが少しずつ色を変えて何度も現れます。シューマンはこの曲を演奏するクララに対して「繊細に幸せに僕たちの未来のように」と語ったとの事です。ピアノ:シュナーベル(開始後5分40秒あたりから「トロイメライ」です)http://www.youtube.com/watch?v=xdOF7U5pqbk&feature=related kumikopiano インフォメーション シューマン◇夕べに / 飛翔 演奏: ピアノ 本間くみ子http://www.youtube.com/watch?v=OIYK6MBY0Zwhttp://www.youtube.com/watch?v=S-WxDHR7LvY&feature=related演奏会、アルバムについてのお問合せ k-honma@violet.plala.or.jp 本間まで1月16日に行いましたニューイヤーコンサートは終了致しました。いらして下さった皆様、本当にありがとうございました
January 17, 2011

新年お喜び申し上げます。今年も音楽エッセイ、どうぞ宜しくお願い致します。私からのお年始の一枚はこちら。 カウルバッハ◇少女とうさぎHerman Kaulbach ヘルマン・カウルバッハ(1846-1909)は19世紀の後半に子供の生活をテーマにした油絵画家です。父はバイエルン宮廷画家ヴィルヘルムはゲーテやシェークスピアの挿入画家としても有名で、またリストが交響詩「フン族の戦い」を作曲するきっかけになった絵の作者としても知られているのだそうです。シューマン◇詩人の恋 より「美しき五月に」ロベルト・シューマン(Robert Schumann 1810-1856)はドイツの作曲家でありロマン派音楽を代表する一人でもあります。また、ショパンも同年に誕生していて後にショパンのワルツ5番を絶賛するなど親交もありました。さて、本日の作品「詩人の恋」。1840年に作曲されたハイネの詩「歌の本」の中の「叙情的間奏曲」による全20篇のうちの16曲であり、シューマンの連作歌曲の一つです。シューベルトと継ぐ代表的ドイツ歌曲作家となったシューマンの最も有名なものですが、典型的なピアノ作曲家らしくピアノ伴奏にも表現力が豊かであるように思われます。1840年、この時期はクララと結婚した年でもあり、本人が「歌の年」と呼んでいるように愛の喜びを託した歌曲をたくさんかいたのです。他に「女の愛と生涯」「ミルテの花」「リーダークライス」が最高傑作のひとつといわれています。「詩人の恋」は第1曲から第6曲までは「愛の喜び」を、第7曲から第14曲は「失恋の痛み」を、そして最後の2曲は「青春の回想」を歌っています。今日お届けする第1曲「美しき五月に」は愛の始まりを告げる美しい曲です。ピアノの分散和音は心のときめきを表しているのでしょうか。ドイツの冬は長く、五月にならないと春は来ません。その間人々は春の到来を心待ちにしているのでしょうね。ほら、メンデルスゾーンの「春の歌」も思い出しませんか・・<美しき五月に>素晴らしく美しい五月に あらゆるつぼみが開き 僕の心の中にも 愛が花咲いた素晴らしく美しい五月に あらゆる鳥が歌いだし 僕は彼女に打ち明けた 僕の憧れ 僕の望みを ジョーンズ◇春の訪れ ◇ハイネ◇(1797-1856)代表的ロマン主義文学者でありながらもドイツロマン派への批判精神を失わないのが特徴で、詩の中に盛り込まれた皮肉をシューマンがどれほど音楽的に表現することができたかについてドビュッシーにより議論の的にされている、との事。またハイネはシューマンと同じ年に亡くなっています。 ~~ハイネの格言より~~ *恋に狂うとは言葉が重複している。恋とはすでに狂気なのだ。 *幸福とは浮気な娼婦である。いつも同じところにじっとはしていない。 フィッシャーディスカウ:Fischer-Dieskau http://www.youtube.com/watch?v=AwZFrb-mt8I&feature=BF&list=PL53D750FAD90FEF31&index=1 kumikopiano インフォメーション ニューイヤーコンサートご案内です。ソプラノの歌をメインに二人のピアニストが伴奏、またそれぞれソロを演奏いたします。今日のエッセイでお届けしました曲を含めミュージカルハイライトやドイツリート・オペレッタなどお楽しみ下さい。~ ~ プ ロ グ ラ ム ~ ~美しき5月に・春の夜(シューマン)~ すみれ・イドメネオより「穏やかな風よ」(モーツアルト)~素敵じゃないの?・踊り明かそう(マイフェアレディ)~星に願いを(ピノキオ)~虹の彼方に(オズの魔法使い)~サウンドオブミュージック・私の羊飼い(サウンドオブミュージック)~チムチムチェリー(メリーポピンズ)~あなたは私の心の皇帝(オペレッタ「お気に入りに家来」)~熱きくちびる(オペレッタ「ジュディッタ」)ピアノソロ: ため息(リスト) 春の歌(メンデルスゾーン) 即興曲2番(シューベルト) 演奏会、アルバムお問い合わせ k-honma@violet.plala.or.jpまた、下記のyoutubeは私自身の演奏です。http://www.youtube.com/user/kumikopianon?feature=mhum
January 4, 2011
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