** 長島便り **

2004/03/22
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私が働いていたその航空会社には、航空会社専門の派遣会社からのパートタイマーが多く働いており、その中のヒスパニックの連中と私は気が合って、仲良くしていました。その中にALという男性がいました。彼の悪い癖は、いつもちょっと調子に乗り過ぎてしまう所。

ある日の朝、ALが私のいる所へやって来て、「オハヨウゴザイマ Kang サン。How are you?」といつものように話しかけてきました。朝は何かと忙しいので、私も仕事の手を休めずに「Oh~AL君、ブエノスディアス~」と、多分、あまりアイコンタクトをせずに話を交わしていたと思います。

するとALは私に「Are you in a bad mood? (機嫌が悪いのか)」と聞いてくるのです。「そうでは無くてやる事がわんさとあるのだよ」と言っていたのですが、ALは大変しつこく私の健康状態までをも気にし始めました。大きなお世話だよ~。

「c’mon kang サン、what’s wrong? You always make me laugh, don’t you?.(kangさんどうしちゃったの?いつもは笑わせてくれるでしょ?)」とも言うのです。私は君の太鼓持ちじゃないんだぞ~。

これが休憩時間中ならば、私も冗談でも言って笑わせてあげられるのですが、私はこう見えてもケジメもある人間なので、この時は「AL,why don’t you go back to the office and make yourself useful. (オフィスに戻ってなんか仕事でもしたらどう?)」等とちょっと邪険に扱っていたかもしれません。

するとALは私の持っていた今日のassignmentやフライトインフォメーションが書かれた紙に何かを書いて「Something wrong with your…….」と言いながらその紙を私に見せました。そこには「HORMONE?」の文字が。。。

ここで私がちょっと笑ってしまったのがいけませんでした。
「私のホルモンには問題は無いから、余計な心配しないでさっさとオフィスに戻って、ほらほら!」と追いやったのですが、彼が「or」と言いながら次に書いた文字は「PMS???」でした。。。



ALはオフィスについてきて私の隣に座り、まだ「大丈夫?大丈夫?」を繰り返す。邪魔なんだけど、さすがに心配してくれている相手に「邪魔だよ」とは言えず、適当に相槌を打ったり、向こうに行くことを促したりしながら仕事を続ける私。

彼はもうすっかり私がPMS(生理前で体調が優れずイライラしている)と思い込み、「You want me to make a hot tea? (暖かいお茶入れてあげようか?)」と大変親切なのですが、大変トンチンカンで余計なお世話な事を繰り返す。

それが数十分続きました。
と、ALが私のひざを指差して「what is this?」と言う。見てみると、ストッキングが伝線していた。あら、ついてないな~と思った瞬間、AL氏は事もあろうに、その伝染したストッキングの穴から人差し指を入れて、私のひざ小僧を触ったではありませんか~!

とっさに私は立ち上がって、椅子に座っているALを「どぉ~ん」と突き飛ばしました。ALは実際、飛びました。

別にひざ小僧を触られたくらいで過剰反応するような私では無いのですが、その前に何十分も「ホルモン」だの「PMS」だのを聞かされ、今日一日持ち歩くインフォメーションシートにはその文字を書かれ、そして仕事の邪魔をされていたので、私も「いい加減にしろ~」と爆発してしまったのでした。

オフィス中が「どどど、どうしたの?!」という顔でこちらを見る。でも、まさか「ALがストッキングの穴から手を入れて私のひざを触りましたよ~」とは言えないので、「あはは~、失礼しました。AL君大丈夫?」と突き飛ばした彼を起こした。

彼は今自分のした事を分かっているので、青い顔で「I’m sorry」と言った。それを皆は聞いていた。

その後すぐチェックインが始まって、私も自分の持ち場へ行きチェックインを始めました。ちょっとお客が途切れた所で、その日のスーパーバイザーのBobという人が私の所へ来て、「さっきはどうしたの?」と興味半分、心配半分で聞いてきた。

私はBobが大好きだったので、「いや、あなただから言うけどね、絶対にANチャンにだけは言わないでね、話が大きくなるから、いい?約束して下さいよ」と前置きして、先程の出来事をかいつまんで話しました。

「なるほどね~、だから奴がI’m sorryって言ってたんだね。しかし、奴は調子に乗りすぎる所があるから、一応注意したほうがいいかもね、マネージャーのEに話してもいい?」と言われた。



そして、ALと私もその後はいつも通り普通に会話をして、その日は過ぎてゆきました。

そして2~3日がたったある日、私はいつも通りちょっと早めに仕事を始め、その時はたまたまチケット・カウンターに立っていました。そこへ私のことを味方につけたくて仕方のないANチャンがご出勤。ターミナルの向こうのほうから歩いてくる姿を確認して、私も「おはようございます」を言うため顔を上げて待っていました。

が、ANちゃんは私に近づいてくるなり、口をキッと結び、顔を私の見えない方へ「フンッ!」と向けて私の前をそのまま通り過ぎて行ったのです。「ぐ、ぐっど・も~にん?んんん?」私も思わず変な挨拶になりました。

いつもなら遥か彼方から私を見つけ「kang~!You’ve started working already?! You work so hard! (もう仕事はじめてるの~?よく働くわねぇ!)」の決まり文句を必ず言うはずなのに!どうしたのでしょう?!あの「フンッ!」はいったい何なのでしょう?!っていうか、だいの大人があの「フンッ」をする所って始めて見た!全然可愛くないぞ。。。。

そうなのです、BobはマネージャーEにALの素行を話し、「ホルモン、PMS,ストッキング」の単語を使わずに私に「ALが何かした」旨を伝えたのです。マネージャーEは、それをスーパーバイザーでもあるANチャンにも伝え、ALに対して厳重注意するよう言ったのかもしれません。



ANちゃんは肩書きこそスーパーバイザーではありますが、人間的器は決して人の上に立つようなタイプの人間ではないのです。昨日の日記の通り、嫉妬深く、イジメが大好き、噂話と下品な話も大好きな、悲しい50代の独身女性なのです。

ANチャンは、一人でイジメをしてもつまらないので、いつも味方をみつけるのに必死です。彼女は私をそのターゲットにしていました。私を褒め称え、それによって他のagentをいやな目に合わせる。それに彼女は喜びを感じる毎日でした。

私は決して他のagentよりずば抜けて仕事が出来たわけでも、頭が良かったわけでも無いのです。ただ単に、ANチャンが誰かをいじめる時に、ちょっと目立つ存在だった私を味方につければ強いと思い、私を必要以上に褒めることで、私を利用していただけのです。

ANチャンが誤算だったのは、私は何でも「そうですね~」とにっこり笑って答える可愛い日本人では無かった、ということです。もしANチャンの一言で誰かが傷ついているとしたら、たとえ相手がスーパーバイザーであっても、間違っていることは間違っている、とはっきりその場で物を言う可愛くない日本人だったのです。それで救われたagentはきっと何人もいたはず。

それでも彼女は私の機嫌をとり、自分の傘下に入れる事に必死の毎日でした。それがある日、その私がALという男性agentに「何かをされた」という話を聞き、彼女は「自分すら何もされたことがないと言うのに、どうしてあのkangが?!」とショックでも受けたのでしょうか?

理由は全く不明なのですが、とにかくANチャンは、悔しくて悔しくて仕方が無かったようです。全く困ったスーパーバイザーです。。。この日から突然始まった一切の無視。今までのおべっかはいったいどこへ?

この日が、私とANチャンの長い長~い戦いの始まりでした。そして私にとっては傍観者達との「顔は笑顔、心は涙」の戦いでもありました。。。

これがスーパーバイザーの態度なの?と笑ってしまうような(でも当時の私にはきつかった)出来事がこれから毎日、毎時間、毎分、なんと2年間も続くのであります。

私が受けた嫌がらせの数々、そして傍観者達の態度、それは明日へ続きます。






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最終更新日  2004/03/22 10:44:16 PM


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