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Hiro Maryam

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2013年12月22日
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カテゴリ: おとぎ話 ”春”

こちらから




春の訪れ <9>






春は、しばし言葉を発するのを止めようか・・・っと想ったのだが、

晋吉の様子をみると、彼は己の言葉をうるさがっているどころか、

耳を澄まして聴き入っているようにみえたので


さらに、言葉を続けたのだった。


ここに誰かが居るのに気付き、

それが村医者の坊、あのお屋敷の人だ!っと思った時から春は、

頭と心の中に、次から次へと清水のように

いろんな事柄が湧き上がってきたのだった。


”春はひどく痩せておるよな。。。?病人のような気味の悪い白い顔をしとるか?

春の顔を見るものは皆、口を揃えてそんなことを言うのじゃ。

みたところ 村医者さんの坊 もあまり顔の色は良くないようだが・・・”


っと問う春のひどく真剣な表情から、

この事柄に関しては是が非でも、

将来の村医者の答えをどうしても聞かねば気が済まぬ


っという彼女の強い想いを感じた晋吉は、



”色白は七難隠す・・・とかいうて、

白い肌は綺麗なおなごの証ではあらぬのか、?

己の姉はどこかへ出かけるときは、

少しでも白くしようと、顔に粉のようなものをたーんと塗っておるぞ。

おなごの肌とは、白いものではなかろか。”



晋吉は、やっとこれだけのことを発することができたのだった。



その言葉を聞き春は、はにかむように笑うと、

直ぐにまたこう言葉を続けた、





”兄さん、名はなんと?姿を、あまり見かけぬな・・・

兄さんも、あの子らとは遊ばぬからな。”

春は、父ちゃんと、母ちゃんに習って、すこ~~しばかり字は読めるが

書は読めん、まったくわからん。


村医者さんが、父ちゃんと母ちゃんにゆっとったよ、

有難いことに、孫は医者になって当たり前だ、と想っているようじゃ、

年の割に、落ち着いておって、良く見、良く聞くことができるから、

医者に向いておる・・・っとな。”





”己の名は 晋吉 じゃ、春・・・”


っと言って

晋吉の身体にはまた、熱いものが走り抜けたのだった。

己の口から 春 という名が突いて出てきただけであったのに、


ひどく乱れた心を意識し、

この己の動揺が、春 に伝わらなければよいが 


っと乱れた心で晋吉は想ったのだった。








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Last updated  2014年05月21日 11時58分55秒
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