趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

August 24, 2005
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碧澗別墅喜皇甫侍御相訪

荒村帯返照、落葉亂紛紛。
古路無行客、寒山獨見君。
野橋經雨斷、澗水向田分。
不爲憐同病、何人到白雲。
【韻字】紛・君・分・雲(平声、文韻)。
【訓読文】
碧澗の別墅にて皇甫侍御の相(あ)ひ訪(と)ふを喜ぶ。

荒村返照を帯び、落葉乱れて紛紛たり。

野橋雨を経て断え、澗水田に向かつて分かる。
同病を憐れむ為ならずんば、何人か白雲に到らん。
【注】
○碧澗 浙江省の地名か。
○別墅 別荘。
○皇甫侍御 皇甫曽。潤州丹陽(江蘇省丹陽県)の人。皇甫冉の弟。広徳年間から大暦年間の初めにかけて殿中侍御史をつとめた。
○相 対象があることを示す。
○荒村 さびれた村。
○返照 ゆうひの照り返し。
○落葉 枝から散りおちる木の葉。
○紛紛 いりみだれるさま。また、多いようす。

○行客 道行く人。また、旅人。
○寒山 秋から冬にかけてのものさびしい山。
○獨 ただ‥‥だけ。
○野橋 野川にかかる橋。
○澗水 谷川の水。

○白雲 ここでは白雲のかかるような奥深い山をいう。
【訳】
碧澗の別荘に皇甫冉が訪ねてきてくれたのを喜ぶ。
このさびれた村では、いま夕陽の照り返しを受け木の葉がヒラヒラとしきりに散っている。
ふるびた道は行く人もなく、さびしい秋の山を登ってくるのは君ひとりだけ。
野川にかかる橋は雨のあと増水してとぎれてしまい、谷川の水はあふれて分流して田にそそぐ。
同じ境遇に苦しむ友でもなければ、いったい誰がこんな山奥のいなかの村まで訪ねてきてくれようか。





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Last updated  August 24, 2005 05:43:47 PM
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