趣味の漢詩と日本文学

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August 24, 2005
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初到碧澗招明契上人

漸老知身累、初寒曝背眠。
白雲留永日、黄葉減餘年。
猿護窓前樹、泉澆谷後田。
沃洲能共隠、不用道林錢。
【韻字】眠・年・田・林(平声、先韻)。
【訓読文】
初めて碧澗に到り明契上人を招く。
漸く老いて身の累(わづらは)しきを知り、初寒背を曝(さら)して眠る。

猿は護る窓前の樹、泉は澆(そそ)く谷後の田。
沃洲能く共に隠れなば、道林の銭を用ゐず。
【注】
○碧澗 浙江省新昌県の地名か。25番にも見える。
○明契上人 劉長卿の知人の僧らしいが未詳。
○累 わずらわしさ。
○澆 そそぐ。
○沃洲 浙江省新昌県の東にある山。20番にも見える。 
○不用 もちいるまでもない。必要ない。
○道林錢 晋の僧支遁が隠居する目的でわざわざ人をたよって山を買った故事。『世説新語』《排調》「支道林人に因り深公に就き印山を買ふ。深公答へて曰く、未だ巣由の山を買ひて隠るるを聞かず、と」。
【訳】

しだいに自分も年をとり、我が身のわずらわしさに気づきました。
ようやく寒気がもよおして背中をまるめて寝るしまつ。
この山里では一日中白い雲が消えることなく、葉が色づくにしたがって今年ものこりあとわずか。
サルは窓の前の木にしがみつき、泉は谷のむこうの田にそそぐ。
もし沃洲で私と共に隠棲なさったら、わざわざ支遁のように金をつかって山を買う必要もありますまい。





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Last updated  August 24, 2005 05:45:18 PM
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