趣味の漢詩と日本文学

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September 11, 2005
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酬張夏別後道中見寄

離羣方歳晏、謫宦在天涯。
暮雪同行少、寒潮欲上遲。
海鴎知吏傲、砂鶴見人衰。
只畏生秋草、西歸亦未期。
【韻字】涯(平声、佳韻)・遲・衰・期(平声、支韻)。「涯」のみ佳韻であるが、あるいは唐代に佳韻と支韻は通用であったか。
【訓読文】
張夏の別後に道中にて寄せらるるに酬ゆ。
群れ離れて方(まさ)に歳晏(やす)く、宦を謫(タク)せられて天涯に在り。

海鴎吏の傲なるを知り、砂鶴人の衰へたるを見る。
只だ畏る秋草を生じ、西帰亦た未だ期せざらんことを。
【注】
○張夏 劉長卿の友人であろうが、未詳。37番に既出。
○別後 その人と別れてのち。
○晏 やすらか。
○謫宦 官職をおとされて地方に左遷されること。
○天涯 天のはて。遙かに遠い所。
○暮雪 夕暮れに降る雪。
○同行 道連れ。
○海鴎 海にいるかもめ。

【訳】
張夏が別れてのちに道中から送ってきた詩に答えて作った詩。
我が身は中央政府の仲間たちと離ればなれになったが、なんとか今年も無事にすごしている。官職をおとされて今いるのは都から遠くはなれた天の果てのような所。
夕暮れの雪のちらつくなか、連れも少なく、寒々とした潮流が川をさかのぼる時分だが、潮のあげかたはゆるやか。
カモメは我が身が何物にもとらわれず悠々自適の生活をしていることを知っていようが、砂浜のツルは老い衰えた我が身を同情するようにこちらを見ている。






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Last updated  September 11, 2005 05:10:24 PM
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