趣味の漢詩と日本文学

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November 15, 2005
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カテゴリ: 漢詩・漢文
贈西鄰盧少府 
籬落能相近、漁樵偶復同。
苔封三徑絶、溪向數家通。
犬吠寒煙裏、鴉鳴(一作飛)夕照中。
時因杖藜次(一作■(ニンベンに尚。トウ)因籃輿出)、相訪竹林東。
【韻字】同・通・中・東(平声、東韻)。
【訓読文】
西隣の盧少府に贈る。
籬落能く相近く、漁樵偶(たまたま)復(ま)同じ。

犬は寒煙の裏に吠え、鴉は夕照の中に鳴く。
時に杖藜に因つて次(いた)り、竹林の東を相訪へ。
【注】
○盧少府 劉長卿の友人らしいが、未詳。「少府」は、山海池沼の産物に関する税をつかさどり、皇室の費用にあてる官。のちに、宮中の衣服・宝物・食事・財政などを司る官となった。
○籬落 まがき。
○漁樵 魚を捕ったり木を切ったりする。名利を離れて民間に暮らす。
○三径 隠者の住まいの庭園のいくすじかの路。
○寒煙 ものさびしい感じを与えるもや。
○夕照 ゆうやけ。
○杖藜 アカザの杖をつく。
【訳】

まがきの垣根もおたがい近く、魚を釣ったり薪を採ったりという暮らしぶりもまた同様。
庭先の三本のこみちもコケで覆われ尽くしてとぎれ、近所の数軒に谷川が通じているのみ。
ものさびしいモヤの中で犬がほえ、夕焼け空にカラスの鳴き声がひびく。
たまにはアカザの杖でもついて、竹林の東の我が家に遊びにきてくれたまえ。





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Last updated  November 15, 2005 06:26:24 PM
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