趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

August 14, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
使次安陸寄友人 劉長卿
新年草色(一作早已)遠萋萋、久客將歸失(一作問)路蹊。
暮雨不知■(サンズイに「員」。イン)(一作須)口處、春風只(一作共)到穆陵西。
孤城盡日空花落、三戸無人自鳥啼。
君在江南相憶否、門前五柳幾枝低。
【韻字】萋・蹊・西・啼・低(平声、斉韻)。
【訓読文】
使ひして安陸に次(やど)り友人に寄す。
新年草色(一に「早已」に作る)遠く萋萋たり、久客将に帰らんとして路渓を失ふ(一に「問」に作る)。

孤城尽日空しく花落ち、三戸人無くして自から鳥啼く。
君江南に在りて相憶ふや否や、門前五柳幾枝か低(た)れん。
【注】
○使 朝廷から使者として派遣されてゆく。
○次 泊まる。
○安陸 湖北省の県の名。
○萋萋 生い茂るようす。
○久客 長くよその土地にとどまっている者。
○暮雨 夕暮れの雨。
○■(サンズイに「員」。イン)口 ■(イン)水が▼(「眄」の「目」を「シ」に換えた字。ベン)に注ぐ所。
○穆陵 湖北省麻城県の北の関の名。

○尽日 一日中。
○江南 長江の下流の南方。
○五柳 晋末の大詩人陶淵明は、宅地の周囲に五本の柳を植え、みずから五柳先生と号した。
【訳】
使者として安陸に泊まり友人に寄せた詩。

夕べの雨の激しさに■(イン)口定かに見えずして、ただ暖かき春の風穆陵関の西に吹く。
孤城終日花は散り、人影も無く鳥が啼く。
君は江南我のこと憶うや否やしらねども、門前五本の柳いま幾つ枝をば垂れていよう。






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Last updated  August 14, 2007 01:04:08 PM
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