趣味の漢詩と日本文学

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August 15, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
哭陳(一作李)歙州(一作使君) 劉長卿
千秋萬古葬(一作共)平原、素業(一作惟有)清風及子孫。
旅■(「木」のみぎに「親」。シン)歸程傷道路、舉家行哭向田園。
空山寂寂開新壟(一作冢)、喬木蒼蒼掩舊門(一作寒山搖落空殘壟、故里疏蕪獨掩門)。
儒行公才竟何在(一作處、一作更何用)、獨憐棠樹一枝存(一作故將脩短問乾坤)。
【韻字】原・孫・壟・門・存(平声、元韻)。
【訓読文】
陳(一に「李」に作る)歙州(一に「使君」に作る)を哭す。
千秋万古平原に葬られ(一に「共」に作る)、素業(一に「惟有」に作る)清風子孫に及ぶ。

空山寂寂として新壟(一に「冢」に作る)を開き、喬木蒼蒼として旧門を掩ふ(一に「寒山搖落空残壟、故里疏蕪独掩門」に作る)。
儒行公才竟(つひ)に何(いづく)にか在る(一に「処」に作り、一に「更何用」に作る)、独り憐ぶ棠樹一枝存せるを(一に「故将脩短問乾坤」に作る)。
【注】
○哭 人の死を悲しみ嘆く。
○陳(一作李)歙州(一作使君) 未詳。「歙州」は、いまの安徽省歙県。「使君」は刺史。州郡の長官。
○千秋 長い年月。
○万古 むかしからずっと。
○平原 広々として平らな原野。
○素業 きよらかな行い。 
○清風 欲が無くさっぱりした生き方。
○旅■(シン) 異郷で死んだ者をいれるひつぎ。

○挙家 家族全員。
○空山 ひっそりとして、ひとけのない山。
○寂寂 ひっそりと静かなようす。
○壟 つか。墓の上の盛り土。
○喬木 丈の高い木。

○掩 おおう。
○旧門 ふるびた門。
○寒山 ひっそりと寂しい山。
○揺落 木々の葉が散る。
○故里 故郷。
○疏蕪 手入れもされず荒れ果てる。
○儒行 学者としての行い。
○公才 三公にふさわしい才能。
○棠樹 甘棠の下で周の召伯が裁判を行い善政を布いたところから、すぐれた政治家を慕うときに詠まれる。
【訳】
歙州の刺史陳氏の亡くなったのを悲しむ詩。
死する者みな昔より平原の地に葬られ、清きおこない無欲にて子孫に及ぼす高き徳。
異郷でひつぎに納められ帰郷の道にみな傷み、一家全員参列し涙流して墓地むかう。
ひとけ無き山ひっそりと新たに築く土饅頭、丈高き木々あおあおと蒼蒼として古びた家の門おおう。
学者の知恵も三公の才能とてもいまいずこ、一枝のこる甘棠に君の徳をば民慕う。





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Last updated  August 15, 2007 03:51:27 PM
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