趣味の漢詩と日本文学

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August 16, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
酬屈突陝 劉長卿
落葉紛紛滿四鄰、蕭條環堵絶風塵。
郷看秋草歸無路(一作何處)、家對寒江病且貧。
藜杖懶迎征騎客、菊花能醉去官人。
憐君計畫誰知者、但見蓬蒿空沒身。
【韻字】隣・塵・貧・人・身(平声、真韻)。
【訓読文】
屈突陝に酬ゆ。
落葉紛紛として四隣に満ち、蕭条として環堵風塵絶ゆ。

藜杖迎ふるに懶し征騎の客、菊花能く酔はしむ官を去る人。
憐ぶ君の計画誰か知る者あらん、但だ見る蓬蒿の空しく身を没するを。
【注】
○屈突陝 屈突延の曾孫。監察御史をつとめた。
○紛紛 数多いようす。
○四隣 あたり。四方。
○蕭条 ひっそりとして、ものさびしいようす。
○環堵 四方各一丈のかきね。環堵蕭然は、住居が狭く、さびしく貧しいようす。陶潜《五柳先生伝》「環堵蕭然として、風日を蔽はず」。
○風塵 わずらわしい世の中の苦労。また、世間の騒ぎ。
○寒江 さむざむしい川。
○藜杖 アカザの茎で作られた軽い老人用の杖。

○征騎客 馬に乗って旅立つ人。
○計画 もくろみ。
○蓬蒿 シナヨモギとカワラニンジン。繁殖力の強い雑草。
【訳】
屈突陝から贈られた詩に答えた詩。

故郷秋草しげるとも官やめ帰る路も無く、家はさびしき川の前体は病みて且つ貧し。
アカザの杖にすがりつつ旅立つ君を迎へんと立ち上がるのも面倒で、菊花の酒は官を去る君酔わせるに十分じゃ。
君のこれからの計画をいったい誰が知るものか、但だ見る庭の雑草が身を隠すほど延びたるを。





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Last updated  August 16, 2007 10:50:01 AM
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