趣味の漢詩と日本文学

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August 19, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
別(一作送)嚴士元(一作送嚴員外、一作呉中贈別嚴士元、一作送郎士元、一作李嘉詩) 劉長卿
春風倚棹闔閭城、水國春(一作猶)寒陰復晴(一作水閣天寒暗復晴、又作水國春深陰復晴)。細雨濕衣看(一作人)不見、閑花落地聽無聲。
日斜江上孤帆影、草緑湖南萬里情(一作程)。
東道(一作君去)若逢相識問、青袍今日(一作已)誤儒生。
【韻字】城・晴・声・情・生(平声、庚韻)。
【訓読文】
厳士元に別る(一に「送」に作る)。(一に「送厳員外」に作り、一に「呉中贈別厳士元」に作り、一に「送郎士元」に作る。劉長卿(一に「李嘉詩」に作る)
春風棹に倚る闔閭城、水国春(一に「猶」に作る)寒くして陰(くも)り復た晴る(一に「水閣天寒暗復晴」に作り、又た「水国春深陰復晴」にも作る)。
細雨衣を湿して看れども(一に「人」に作る)見えず、閑花地に落ちて聴くに声無し。

東道(一に「君去」に作る)若(もし)相識の問ふに逢はば、青袍今日(一に「已」に作る)儒生かと誤たん。
【注】乾元元(七五八)年春、蘇州における作。
○厳士元 唐の馮翊臨晋(いまの陝西省華陰)の人。大理司直、京兆府戸曹掾、殿中侍御史、河南の令、刑部郎中、国子司業などをつとめた。
○員外 定員外の郎官の役人。
○呉中 江蘇省蘇州市。
○倚棹 船を停める。
○闔閭城 呉王闔閭が都を置いた蘇州を指す。
○水国 川や湖が多い土地。水郷地帯。
○陰 曇る。
○水閣 水辺に建てられたたかどの。
○細雨 霧雨。ごく細かいあめ。

○万里 非常に遠い距離。
○東道 東へ向かう道。
○相識 知り合い。
○青袍 唐制では官位の低い八九品役人の服。
○儒生 孔子の学を修める学者。

厳士元と別れるにあたり詠んだ詩。
春の風をば身に受けて蘇州の町に船を泊め、水郷の地は春浅く曇りてはまた晴れる空。
霧雨しっとり服ぬらし遠くは景色もよく見えず、花は地面に散り布けど、とても静かに音も無し。
夕陽傾くその川に一隻浮かぶ帆掛け船、湖南に草は青々と帰郷の思いかきたてる。
東に向かう道中で知り合い君に問うならば、青い服きる端役を学者と取り違えるだろう。





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Last updated  August 20, 2007 10:54:01 AM
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