趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

January 5, 2011
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カテゴリ: 国漢文
【本文】宇多院の花おもしろかりけるころ、南院のきみたちと、これかれあつまりて歌よみなどしけり。右京の大夫(かみ)宗于(むねゆき)、

きてみれど心もゆかずふるさとのむかしながらの花はちれども

異人のもありけらし。

【注】
・宇多院=宇多天皇が退位後にお住みになった場所。
・南院のきみたち=是忠親王のご子息たち。南院は源是忠(四条の北、壬生の西にあった彼の邸宅のことだが、彼自身もこう呼ばれた)。
・右京の大夫宗于=是忠親王の子。三十六歌仙の一人。第三十話にも見える。

【訳】宇多院の桜の花が美しかった時分に、是忠親王の御子息達と、ほかにも、この人やらあの人やらが集まって、歌を作りなどしたとさ。そのときに右京の大夫宗于様が作った歌、

きてみれど心もゆかずふるさとのむかしながらの花はちれども



やって来て桜を見てみたが、じゅうぶん満足もいかない、昔住んでいた場所に昔通りの桜の花がひらひらと美しく散るけれども。(それというのも亡き父君といっしょに見られないからだなあ)

ほかの方たちの歌もあったらしい。





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Last updated  January 5, 2011 05:16:32 PM
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