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僕は、扉を開けた。一瞬、眩しさに目がくらんだ。しばらく動く事ができず、ただ立ち尽くしていた。ようやく目が見えるようになってきた。目の前に広がった、広い、それは広い部屋。あまりにも豪華な、例えばすぐそこにある花瓶1つとっても、とてもではないが『僕』が働いていた時の年収は軽く超えているのだろう。場違いな気がする。自分がまだ、なぜここに来たのかすら、分かっていない『僕』にとっては、全てが別世界だった。門番に連れて行かれたのは、応接間と呼ぶべきだろう、ある部屋だった。扉を開けた瞬間、『彼ら』は拍手で『僕』を出迎えてくれた。『やあ、はじめまして。』『おっ、やっと来たねえ。』『これで、全員揃ったんですよね?』口々に、自分のいいたい事を並べ立てる若者達。男3人、女2人。どうやら、『彼ら』には事情が飲みこめているようだ。『僕』1人が置いてきぼりをくらったような気になったが、孤独は感じなかった。『僕』は生まれたときから1人だったから。「さて、それでは、皆さんお座りください。」1番後ろにいた白髪の老人が、僕達に声をかけた。右目の部分に海賊がつけるような眼帯がかかっている。死後の世界だというのに、こういうハンディは残るのだろうか?考えながら、『僕』も席につく事にした。幸い、椅子が1つ空いていた。もちろん、この椅子も想像できないくらい高いものなのだろう。「さて、最後のお客様が辿り着いたところで、そろそろはじめたいと思いますが…貴方、貴方はまだ何も知らされていませんね?」「僕ですか?ええ。ここがどこなのか、なんのためにここに連れてこられたのか、全く分かりませんね。」「そうでしょうね。どうやら彼女は約束を守ってくれたようですな。よろしい。私から説明しましょう。」そう言うと、かれは他の人間たちに、「皆さんはすでに1度聞いていると思いますが、まあ復習だと思って聞いて頂きたい。」と断りを入れ、そして、『彼』は、ゆっくりと語り出した。
2004年09月12日
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それから、『僕』は歩き続けた。歩いていくと、後ろからついてくるように、道であったはずの場所が水に戻っていく。なんとなく、この水に追いつかれたらどうしようなどと考えてみた。死んでいてもおぼれたら苦しいのだろうか?それとも、なんでもありってことで、水の中でも呼吸が出来るのだろうか?試してみようとは、思わなかった。なんだか、面倒だったから。どれくらいの時間、歩いたのだろうか?不意に、目の前の景色が開けた。広い道に出た。そして、目の前には。宮殿があった。中国風のまるで「ラスト・エンペラー」に出てきそうな、壮大な宮殿。『僕』はその雰囲気に圧倒されながら、進んだ。……門番がいた。おそらく、いや間違いなく、ここの中にいる人を守っているのだろう。まるで、蝋人形のようにつるりとした顔。日本人ではないらしい。顔の造りがまるで違う。『お待ちしておりました』不意に、声をかけられた。『こちらへお越し下さい。皆様、もうお待ちです。』「待っていた?ということは、僕はここへ導かれたという事だな。分かりました。行きます。」どうせ、他に行くところもなさそうだ。『僕』は、彼らについていく事にした。~~~
2004年09月08日
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