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「楽しさ」を意識し… New! かめおか ゆみこさん

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森の声

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2008.06.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今日からちょっと話題を変えて「表現共育(教育)」について考えてみます。


確かに、様々なジャンルの人たちが集まって表現について語っている本もあるのですが、その内容の紹介を読んだ範囲ではやっぱり寄せ集め的な議論しか出来ていないように感じるのです。話し合うことを通して自分の専門を超えた中心を抽出できないのです。それは“子どもの育ち”そのものに対する感覚的な理解が乏しいからなのではないかと思います。
そのため、“表現”というものに対する本質的な理解にたどり着けないのでしょう。

まず、表現には大きく分けて二種類あります。
表現しようとする意志がある表現と、意志のない表現です。

赤ちゃんも、犬や猫も表現しています。でも、その表現は無意識的で“表現しようとする意志”の発露ではありません。熱いものに触れて“熱い!”と言うのも、お腹がすいた犬がよだれを垂らすのも表現として見ることも出来ますが、そこには表現しようとする意志は存在していません。その表現は反射であり、反応だからです。見る側の人間がそれを表現として受け取っているに過ぎません。
この手の表現は本能的、生理的なものなので“表現共育”のテーマとしてではなく生物学や生理学の課題になるのでしょう。

ですから、“人間の育ち”という視点から見たら、大切になるのは“表現しようとする意志のある表現”の方だということです。言葉が話せるようになるちょっと前の子どもはお母さんに“あ あ”と言いながら指を指して一生懸命に何かを伝えようとします。この“指さし”という表現には子どもの意志が現れています。ですから、この“指さし”は立派な表現です。その証拠にこの表現を行えない子は“言葉”という表現にスムーズに移行することが出来ません。


そっくりに描かれた絵でもそこに表現しようとする意志がなければロボットの絵と同じです。でも、幼稚園児の下手な絵でもそこに表現しようとする意志があるならそれは立派な“表現”として見てあげるべきです。

でも、多くの大人が結果の上手下手だけで子どもの表現を判断しています。そうすると、自分の意志で表現しようとする子は自信をなくしていきます。なぜなら、 自分の意志で表現しようとする子は大人の期待通りには描かないからです。子どもが表現したいことはいつでも大人の予想の範囲外にあるのです。

ある子は学校で、“運動会で一番印象に残ったことを描きなさい”という課題で、お母さんと一緒にお弁当を食べている絵を描いたそうです。
でも、先生は“これは運動会の絵ではない”と怒り、描き直させたそうです。
でも、その子のお母さんは仕事をしていて忙しく、普段は子どもと一緒に食事もできないのです。そんな中で、運動会の時にはお母さんと一緒にお弁当を食べることが出来たのです。
ですから、この子にとっては“運動会の想い出”は“お弁当”だったのです。

先生に言われた通りに、ただノルマをこなすために上手な絵を描く子は褒められて、本当に自分が描きたいことを描いた子は否定されてしまったのです。
これは表現の否定であると共に、子どもの意志の否定です。

子どもの表現を大切にすると言うことは“子どもの意志”を大切にすると言うことでもあるのです。それは絵とか踊りとかそんなジャンルとは関係ありません。

高いところに登ってジャンプするということでもそれが子どもの意志の現れなら、それも立派な表現だと言うことです。

人の絵を模倣するのも、模倣したくて模倣するのならそれも立派な表現なんです。大人はそんな模倣に作品としての価値はないといいますがそんなこと子どもには関係のない話しです。“模倣したい”という意志は人間の成長にとって非常に重要な要素なのです。


そのように、表現というものを絵画とかダンスとか造形といったような縦割りのジャンルで考えるのではなく、子どもの成長という視点から横につなげて考えてみると、一般的に“表現”という言葉で表されるものとは全く異なったものが見えてくるのです。そして、“表現”が子どもの成長と直結した、もっと日常的なものであるということも分かってきます。
絵画やダンスや造形といったものはその表現の一形態に過ぎないのです。

そして親子の関わりや、学校での勉強といったことの中でも表現共育という視点を持つことで子どもの育ちをサポートしやすくなるわけです。


さらにまた、その“表現しようとする意志”のある表現にも二種類あります。
それは“自分に向けた表現”と“他者に向けた表現”の二種類です。







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Last updated  2008.06.02 11:01:50
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