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森の声@ Re[3]:「体験格差」(子どもの育ちに必要な体験について)(11/04) めげぞうさんへ >これからどうなって行…

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森の声

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2024.10.31
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カテゴリ: カテゴリ未分類
昨日は、

大切なのは、「いずれの方法を採るにしても、その短所と長所のことをちゃんと理解した上で、状況に応じて自由に考えた方がいいですよ」ということです。


と書きましたが、実は子どもの成長には「中身」も「形」(型)も両方必要なのです。ただし、学ぶ順序に気を付ける必要があります。

9才、10才頃までは中味を充実させた方がいいです。その頃までは形や型に囚われないで自由に学び、自由に遊び、自由に踊り、自由に作り、自由に動くことで、「学ぶって楽しい」「遊ぶって楽しい」「踊るって楽しい」「作るって楽しい」「動くって楽しい」ということをからだに浸みこませる必要があるからです。

これが「生きるって楽しい」という感情と「前向きに生きるための意志」を育ててくれるでしょう。

でもその頃から、子ども達はもっと上を目指すために「形(型)」に興味を示し始めます。自由なやり方、楽しいだけのやり方だけではどうしても限界があるからです。そのため、この頃になると、先人たちが学んできたこと、やってきたことにも興味を示し始めます。そしてそこに形や型を探ろうとするのです。

ただ自由に描いてきただけの子が、「セザンヌの描き方」「ルーベンスの描き方」「クレーの描き方」に興味を示し始め、真似をし始めるのです。9才、10才ごろになると、抽象化する能力が目覚め始めるので、そういうものが見えるようになってくるからです。

子ども達に「形」(型)を教えるのはその頃からでいいのです。でも、いつまでも「形」(型)にこだわっていたら、自由になれません。自分らしさを発揮できません。
それで、成長が一段落した20才ごろから、子ども達はそれまで学んできた「形」や「型」を自ら壊し始めるのです。
(ただし、言葉や、生活の場での形や型は幼い頃から学んでおく必要があります。遊びの場における遊び方やルールも形や型の仲間です。その形や型が学べなかった子は仲間ともつながることが出来なくなります。形や型は「他者とつながるための言語」でもあるからです。)

でも、壊しても感覚やからだの中に染み付いた形や型は抜けません。だからこそ、先人が築いてきたものを土台にして、「自分らしい表現」「自分らしい生き方」が出来るようになるのです。


多くの一流の絵描きたちが「子どもの自由な表現」を褒めます。棟方志功も、私が絵を学んだ里見勝蔵も、子どもの絵を褒めていました。でも美術館には、棟方志功の絵も里見勝蔵の絵もありますが、「子どもの絵」はありません。

美術館に絵が飾られるような人が褒めているのに、その人達が褒めている「子どもの絵」は飾られていないのです。なんでだか分かりますか。
それは、子どもの絵には命の輝きと、常識にとらわれない自由さと、その子らしさはありますが、人類がこれまでに発見し、積み上げてきたものがないからです。 子どもの絵のすばらしさは、自然のすばらしさと同じなんです。自然の中で咲いている花の美しさと同じなんです。

絵描きはその自然の素晴らしさに驚きあこがれ、それを自分なりの解釈で絵にしようとします。その絵の中には、その絵を描いた人の生き方や、感覚や、心も表現されています。そしてそれが、絵を見る人の生き方や、感覚や、心に響くのです。

でも自然はただそこにあるだけです。その「ただそこにあるだけ」のものの中に隠された「真実」や「美」を読み解き、自分のものとして表現するためには何らかの訓練が必要になるのです。形や型の学びはその時に必要になるのです。

茶道には細かい型の決まりがあります。でも、それを究めた千利休は
茶の湯とはただ湯をわかし茶をたててのむばかりなる事と知るべし
と言いました。

論語を書いた孔子は70才を超えて
「心の思うところに従えども矩を踰(こ)えず」
と言いました。

それは、徹底して形や型を学んだ結果としてたどり着いた、形も型もない自由な境地です。





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Last updated  2024.10.31 08:53:00
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