2010/03/26
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テーマ: 童話(3)
カテゴリ: 童話




亡き祖父、父王にかわり、母である妃の幸せを一心に。

城を守り、領土を拡張して、必死でやってきました。


ところが、親族・家臣たちは”姫さまならば、何でも出来ても当たり前”。

懸命にがんばっても、姫さまには何もかえらず。

見て見ぬふりをされて、搾取されていくだけ。

身を削って書いた作品も、親族や家臣たちはまったくの無関心。


姫さまは制限され、外に出る活動を邪魔されていました。

けれども、家臣の猛反対と闘いながら、個人としての自分の仕事の動きを試みました。




けれども、裏で徹底的に妨害をしていたのです。


彼らの執着は、”姫さま自身”のことにしか無かった。

彼女がどう思うのか、ということについては、どうでもいい。

姫さまには、そのことがわからなかったのです。

必死でもがきました。


ある大仕事を経たあとに、姫さまは、とうとうすべてが空しくなってしまいました。

何もかもやる気が失せてしまったのです。


愛犬をひざに乗せ、来る日も来る日も、死ぬことを考える日が続きました。

困り果てた人々は、世界中から名医を集め、姫さまの回復を願いました。


気分が悪くなってからの姫さまは、めったに部屋から出なくなっていきました。

手厚いケアを受け、身の回りのことには何ひとつ困らない生活。



運ばれる食事を食べると、ストンと寝込んでしまうようになりました。

悪循環は続き、姫様はどんどん動けなくなっていったのです。


ベットに横になっている彼女の唯一の楽しみは、小さな窓から見える庭の景色。

陽光にあふれ、数本の細い木が。地には芝。

四角の世界は、まるで季節を語る1枚の絵だったのです。




ある日のこと、姫さまは、窓を横切る何かがいることに気付きました。






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Last updated  2010/03/26 06:15:39 PM
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