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2005.12.19
カテゴリ： 読書
何年かぶりに読み返してみた。
前に読んだときにはわからなかったことがすこしわかるようになった気がした。気のせいかも。
以下、太字の部分は引用です。引用が多すぎるかな。
主人公の「僕」は、妻に去られ、ガール・フレンドたちに去られる。何もかもが彼から失われていく。
「僕」は個人主義的だ。
個人主義は退屈だ。ベクトルは外ではなく内へ向いているので、社交的でもなく華やかさもない。俗っぽくもない。つまり退屈なのだ。
「君の言うとおりかもしれない。僕の人生が退屈なんじゃなくて、僕が退屈な人生を求めてるのかもしれない。でも結果は同じさ。どちらにしても僕は既にそれを手に入れているんだ。みんなは退屈さから逃げだそうとしているけれど、僕は退屈さに入り込もうとしている、まるでラッシュ・アワーを逆方向に行くみたいにさ。だから僕の人生が退屈になったからって文句なんて言わない。女房が逃げ出す程度のものさ」
妻は 「でも、あなたと一緒にいてももうどこにも行けないのよ」 と言った。つまり僕は、自分という行き止まりの中に入り込んでいるからだ。個人主義のせいだ。
ひとりのガール・フレンドは 「とにかく時々、月にいるみたいに空気が薄くなるのよ、あなたと一緒にいると」「月世界に帰りなさい」
すべてに去られた「僕」は、喪失感と孤独の中にある。
その中で、誰かが泣く声が聞こえる。だれかが自分のために泣いているのだ、と思う。
彼はドルフィン・ホテルの暗闇（それは現実ではあるがこの世界ではない）の中で、羊男に再会する。ここはあんたのための世界だ、と羊男は言う。
「ここでのおいらの役目は繋げることだよ。ほら、配電盤みたいにね、いろんなものを繋げるんだよ。」
繋がる形にはいろいろとあるのかもしれない。目に見える形、見えない形。
「踊るんだよ」羊男は言った。「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言ってることはわかるかい？踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考え出したら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。」
「僕」は踊り続け、繋がるものを見つけることが出来た。
だが、この世界は脆く、そして危うい。そしてまだ誰かが僕の為に涙を流していた。僕が泣けないもののために誰かが涙を流しているのだ。
そして僕は失われたもののために泣き、まだ失われていないもののために泣いた。
前に読んだときにはわからなかったことがすこしわかるようになった気がした。気のせいかも。
以下、太字の部分は引用です。引用が多すぎるかな。
主人公の「僕」は、妻に去られ、ガール・フレンドたちに去られる。何もかもが彼から失われていく。
「僕」は個人主義的だ。
個人主義は退屈だ。ベクトルは外ではなく内へ向いているので、社交的でもなく華やかさもない。俗っぽくもない。つまり退屈なのだ。
「君の言うとおりかもしれない。僕の人生が退屈なんじゃなくて、僕が退屈な人生を求めてるのかもしれない。でも結果は同じさ。どちらにしても僕は既にそれを手に入れているんだ。みんなは退屈さから逃げだそうとしているけれど、僕は退屈さに入り込もうとしている、まるでラッシュ・アワーを逆方向に行くみたいにさ。だから僕の人生が退屈になったからって文句なんて言わない。女房が逃げ出す程度のものさ」
妻は 「でも、あなたと一緒にいてももうどこにも行けないのよ」 と言った。つまり僕は、自分という行き止まりの中に入り込んでいるからだ。個人主義のせいだ。
ひとりのガール・フレンドは 「とにかく時々、月にいるみたいに空気が薄くなるのよ、あなたと一緒にいると」「月世界に帰りなさい」
すべてに去られた「僕」は、喪失感と孤独の中にある。
その中で、誰かが泣く声が聞こえる。だれかが自分のために泣いているのだ、と思う。
彼はドルフィン・ホテルの暗闇（それは現実ではあるがこの世界ではない）の中で、羊男に再会する。ここはあんたのための世界だ、と羊男は言う。
「ここでのおいらの役目は繋げることだよ。ほら、配電盤みたいにね、いろんなものを繋げるんだよ。」
繋がる形にはいろいろとあるのかもしれない。目に見える形、見えない形。
「踊るんだよ」羊男は言った。「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言ってることはわかるかい？踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考え出したら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。」
「僕」は踊り続け、繋がるものを見つけることが出来た。
だが、この世界は脆く、そして危うい。そしてまだ誰かが僕の為に涙を流していた。僕が泣けないもののために誰かが涙を流しているのだ。
そして僕は失われたもののために泣き、まだ失われていないもののために泣いた。
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Re:読書『ダンス・ダンス・ダンス』『羊をめぐる冒険』／村上春樹著(12/19)
RuneRune
さん
読んだ事のない本だけれど、tyちゃんのお話を聞いてると入り込んじゃって続きが読みたくなるね。
私も昔に読んだ本を後でまた読み返すことが多いのだけれど、やっぱり最初解らなかったことが解ったりすること多いよね。
それって成長してる！ってことなのかな？(^_^) (2005.12.20 00:44:09)
私も昔に読んだ本を後でまた読み返すことが多いのだけれど、やっぱり最初解らなかったことが解ったりすること多いよね。
それって成長してる！ってことなのかな？(^_^) (2005.12.20 00:44:09)
(^^♪わかんねえ(^^♪
風来2004
さん
ｔｙさん、私はこの小説は読んだ事がない。
したがってよくわからないけど
ｔｙさんの記事を読んで感じたことは、
サラリーマンが定年になって、
はじめて自分の存在はいったいなんだったのか、
って悩みはじめる時の心情も
こうなのかな？
って気がします。
間違っていたら
ごめん。
では、またね(^^♪(^^♪(^^♪
(2005.12.20 01:02:45)
したがってよくわからないけど
ｔｙさんの記事を読んで感じたことは、
サラリーマンが定年になって、
はじめて自分の存在はいったいなんだったのか、
って悩みはじめる時の心情も
こうなのかな？
って気がします。
間違っていたら
ごめん。
では、またね(^^♪(^^♪(^^♪
(2005.12.20 01:02:45)
Re:読書『ダンス・ダンス・ダンス』『羊をめぐる冒険』／村上春樹著(12/19)
あじゅ子
さん
う、なんだかすごくおもしろそう。
読んでみようかな。
こりゃ、読みたいもの、見たいもののリスト作っておかないと^^;
もしかしたら全然違うのかもしれないけれど、アミエルというひとを思い出していました。
一度だいぶ前にその人の残した日記を書いたことがあるんだけど、どんどん自分の内側に向けて旅をしているというところが、似ているのかなと思った。そのアミエルは、あまりにも自分の内側に向かいすぎちゃって、結局どうなったんだったかな。精神病になったか、自殺したか、とにかく結局壊れちゃった。うろ覚えだけど、実在の人物だよ。
(2005.12.20 15:58:00)
読んでみようかな。
こりゃ、読みたいもの、見たいもののリスト作っておかないと^^;
もしかしたら全然違うのかもしれないけれど、アミエルというひとを思い出していました。
一度だいぶ前にその人の残した日記を書いたことがあるんだけど、どんどん自分の内側に向けて旅をしているというところが、似ているのかなと思った。そのアミエルは、あまりにも自分の内側に向かいすぎちゃって、結局どうなったんだったかな。精神病になったか、自殺したか、とにかく結局壊れちゃった。うろ覚えだけど、実在の人物だよ。
(2005.12.20 15:58:00)
Re[1]:読書『ダンス・ダンス・ダンス』『羊をめぐる冒険』／村上春樹著(12/19)
ty*
さん
RuneRuneさん
＞私も昔に読んだ本を後でまた読み返すことが多いのだけれど、やっぱり最初解らなかったことが解ったりすること多いよね。
あーRuneさんもそうなんだ。私も同じ本を何度も読み返すタイプです。(^_^)
＞それって成長してる！ってことなのかな？(^_^)
そうだね～そう思いたいネ(^_^) (2005.12.21 04:01:30)
＞私も昔に読んだ本を後でまた読み返すことが多いのだけれど、やっぱり最初解らなかったことが解ったりすること多いよね。
あーRuneさんもそうなんだ。私も同じ本を何度も読み返すタイプです。(^_^)
＞それって成長してる！ってことなのかな？(^_^)
そうだね～そう思いたいネ(^_^) (2005.12.21 04:01:30)
Re:(^^♪わかんねえ(^^♪(12/19)
ty*
さん
風来2004さん
＞サラリーマンが定年になって、
＞はじめて自分の存在はいったいなんだったのか、
＞って悩みはじめる時の心情も
＞こうなのかな？
さあ～どうなのでしょうネ(^_^)♪ (2005.12.21 04:02:51)
＞サラリーマンが定年になって、
＞はじめて自分の存在はいったいなんだったのか、
＞って悩みはじめる時の心情も
＞こうなのかな？
さあ～どうなのでしょうネ(^_^)♪ (2005.12.21 04:02:51)
Re[1]:読書『ダンス・ダンス・ダンス』『羊をめぐる冒険』／村上春樹著(12/19)
ty*
さん
Re:読書『ダンス・ダンス・ダンス』『羊をめぐる冒険』／村上春樹著(12/19)
座禅鼠？
さん
まぁ、僕の鼠？と言うのは勿論、村上春樹作品に
登場する鼠から拝借したものだけれども
ダンス～は血迷って「下巻」と「下巻」を購入して
しまい、それ以降読んでいません。
やはり「上巻」と「上巻」を購入したほうが
よいのでしょうか？
教えてチョリソー。 (2005.12.23 02:38:17)
登場する鼠から拝借したものだけれども
ダンス～は血迷って「下巻」と「下巻」を購入して
しまい、それ以降読んでいません。
やはり「上巻」と「上巻」を購入したほうが
よいのでしょうか？
教えてチョリソー。 (2005.12.23 02:38:17)
Re[1]:読書『ダンス・ダンス・ダンス』『羊をめぐる冒険』／村上春樹著(12/19)
ty*
さん
座禅鼠？さん
＞まぁ、僕の鼠？と言うのは勿論、村上春樹作品に
＞登場する鼠から拝借したものだけれども
そうなんですか。たしか、前は座禅男さんでしたよね。
＞ダンス～は血迷って「下巻」と「下巻」を購入して
＞しまい、それ以降読んでいません。
あはは。がっかりしたでしょう。
＞やはり「上巻」と「上巻」を購入したほうが
＞よいのでしょうか？
＞
＞教えてチョリソー。
羊男的世界においてはそのほうがいいかもしれませんね(てきとう)。
ダンス・ダンス・ダンスには鼠はほとんど姿をけしているし、エンターテインメント的な要素も増えていますから、鼠好き?の人には、物足りない部分もあるのかな…とも思います。
(2005.12.25 04:05:29)
＞まぁ、僕の鼠？と言うのは勿論、村上春樹作品に
＞登場する鼠から拝借したものだけれども
そうなんですか。たしか、前は座禅男さんでしたよね。
＞ダンス～は血迷って「下巻」と「下巻」を購入して
＞しまい、それ以降読んでいません。
あはは。がっかりしたでしょう。
＞やはり「上巻」と「上巻」を購入したほうが
＞よいのでしょうか？
＞
＞教えてチョリソー。
羊男的世界においてはそのほうがいいかもしれませんね(てきとう)。
ダンス・ダンス・ダンスには鼠はほとんど姿をけしているし、エンターテインメント的な要素も増えていますから、鼠好き?の人には、物足りない部分もあるのかな…とも思います。
(2005.12.25 04:05:29)
Re:読書『ダンス・ダンス・ダンス』『羊をめぐる冒険』／村上春樹著(12/19)
Mikku＠
さん
なるほどね。ｔｙさんはこの文章が分るようになったのね。内容の深い文章です。私は最後の・・だが、からが面白い。
絵が大変で暫くブログお休みします。ｔｙさんが愛知に住んでいるの今日分りました。近いじゃん！
春には戻ります。よろしくね。 (2005.12.27 22:45:11)
絵が大変で暫くブログお休みします。ｔｙさんが愛知に住んでいるの今日分りました。近いじゃん！
春には戻ります。よろしくね。 (2005.12.27 22:45:11)
Re[1]:読書『ダンス・ダンス・ダンス』『羊をめぐる冒険』／村上春樹著(12/19)
ty*** さん
Mikku＠さん
＞なるほどね。ｔｙさんはこの文章が分るようになったのね。内容の深い文章です。
えへへ・・・。
村上春樹の小説はけっこう好きなんです。
何年かぶりに読んで、前よりもわかった気がしています。
＞私は最後の・・だが、からが面白い。
ふふふ。そうですか。わたしもそこからがとくに印象深いです。
＞絵が大変で暫くブログお休みします。ｔｙさんが愛知に住んでいるの今日分りました。近いじゃん！
＞春には戻ります。よろしくね。
近いですか?そうなんだー。(*^_^*)
Mikkuさんの絵の展覧会、今度は見に行こうと思います。
春までお休みはさびしいですが、もどられたらまたどうぞよろしくおねがいします。
(2005.12.28 17:55:45)
＞なるほどね。ｔｙさんはこの文章が分るようになったのね。内容の深い文章です。
えへへ・・・。
村上春樹の小説はけっこう好きなんです。
何年かぶりに読んで、前よりもわかった気がしています。
＞私は最後の・・だが、からが面白い。
ふふふ。そうですか。わたしもそこからがとくに印象深いです。
＞絵が大変で暫くブログお休みします。ｔｙさんが愛知に住んでいるの今日分りました。近いじゃん！
＞春には戻ります。よろしくね。
近いですか?そうなんだー。(*^_^*)
Mikkuさんの絵の展覧会、今度は見に行こうと思います。
春までお休みはさびしいですが、もどられたらまたどうぞよろしくおねがいします。
(2005.12.28 17:55:45)
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