仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2023.08.20
XML
カテゴリ: 宮城



(このあと、本記事では展示・解説の内容を記させていただきます。)

とみぷら移転5周年記念「富谷隕石」特別展示(3階富谷市民俗ギャラリー)。






●【パネル】富谷市外にある貴重な文化財(2) 富谷隕石
富谷市富ヶ丘3丁目に昭和59年(1984)8月22日午後1時35分。石のようなものが前ぶれもなく落下し、その石は、国立科学博物館による鑑定の結果、隕石と断定されました。富谷隕石は、ケイ酸塩鉱物が主な主成分(ママ)の「石質隕石」で、宇宙にあった時と同じ状態のきれいなまま発見され、落下後20数時間で専門家の手に渡ったことなどから、太陽系誕生の過程を知る資料として貴重な資料と(ママ)なりました。現在は、東京上野にある国立科学博物館で常設展示されています。




(↑画像加工で所有者のお名前を伏せました。)

●【新聞記事】(河北新報紙面。ちなみに隣の漫画はヒラリ君。Yさん所蔵)
ゆく夏のロマン”宇宙の使者”/いん石二個(アメ玉大)落下/
一つはパジャマの上に/宮城・富谷

 いん石が落下したのは、宮城県富谷町富ヶ丘三丁目(おだずま注:記事には番地まで記載あるが省略)、会社員Aさん(注:記事には実名と年齢あるも伏せます)の縁側と隣のYさん(注:同前)の物置屋根。発見者の浅野さんの妻Bさん(注:同前)の話だと、22日午後1時35分ごろ、隣のYさん方で「物干しざおが落ちるような」物音がして十数秒たった後、縁側に足の親指ほどの円形の石が落ちてきた。生臭いような異様なにおいがしたので、Bさんはびっくり。夫のAさんが23日朝、仙台市天文台に知らせた。
 同市天文台はいん石の専門家である村山部長に連絡。同日午後駆けつけた村山部長が二つの石を鑑定、いん石と断定した。
 大きさは、一つは3センチ×2.8センチ×1.7センチ(重さ19.2グラム)。もう一つは2.3センチ×2センチ×1.5センチ(8.3グラム)。いずれも色は黒っぽく、一部灰色の部分が残っていた。黒っぽく見えるのは落下の際、空気との摩擦によって焼けたもので、本来の色はわずかに残っている灰色だという。
 村山部長の話によると、落下したいん石が実際に発見されるのは、毎年、世界で十例ほど。国内では昭和十三年の岐阜県、三十三年の埼玉県、今年六月三十日の青森市松森に続き、昭和に入ってからわずか四例目。特に青森市に落ちてから二カ月もたたないうちに、同じ東北地方で発見されたことは「こんなことがあり得るのだろうか」(同部長)と驚くほど珍しい現象。しかも、今回の発見された二個はいずれも「宇宙にあった時と同じ状態のきれいなまま」(同)見つかっている上、落下後二十数時間という短時間の間に専門家の手に渡っていることから、四十六億年前にさかのぼるといわれる太陽系の生成過程を知る貴重な手掛かりになる。
 東北ではこれまでに青森の一例のほか、秋田、岩手各一例、山形三例の計六例のいん石が確認されている。
 命名は確認された地名をかぶせるのが通常で、今年青森市に落下したものは「青森いん石」と呼ばれていることから、今回の例は「富谷いん石」と命名されそう。
 Bさんの話 / 異様な音に生後三カ月になる双子の姉妹が、目を覚まし泣き出してしまいましたので、落下の瞬間ははっきり覚えています。その直後に今後は縁側でしょう。本当にびっくりしました。(中略)落ちた黒っぽい石ころは子どもが外から投げたものと思いました。でも拾ってみると、冷たくて生臭いにおいがしたので普通の石ではないと気づきました。
 いん石とは / (略)
写真(落下した隕石(上)といん石が落下した縁側の前で、国立科学博物館の村山定男理化学部長に「所有権はあなたのものですよと」と言われ、ニッコリする発見者のBさん(宮城県富谷町で)
(おだずま注:写真では、縁側の前でBさんが小さな子を抱いています。)


(↑このパジャマが受け止めてくれた。何とも天文学的偶然。しかもど真ん中です。)


 1984年(昭和59年)8月22日午後1時35分に富谷市富ヶ丘三丁目に、石のようなものが前ぶれもなく落下した。その石は、国立科学博物館の村山定男理化学部長が鑑定した結果、隕石であると断定された。
 そもそも隕石とは、宇宙の惑星間空間に存在する固体物質が地球の表面まで落下してきたものである。そして、隕石は大きく3つに分類することができる。鉄隕石(略)、石鉄隕石(略)、石質隕石(略)富谷隕石はこの石質隕石にあたるものである。
 宇宙から飛来する隕石は、通常は発見から分析・鑑定が行われるのに間に(ママ)時間がかかり、いつどのような形で落下したのか具体的に詳細が分かる物は、数少ない。また、落下して地球の大気に触れることで、分析・鑑定を難しくしてしまう。
 そんな中、富谷隕石は、宇宙にあったときと同じ状態のきれいなままで発見され、落下後20数時間で専門家の手に渡ったことなどから、太陽系の生成過程を知る資料として、貴重な資料となった。

●雑誌記事(おだずま注:出典記録忘れました。村山定男理化学部長の執筆のようです。)

 8月22日11時ごろ、今度は(おだずま注:直前が青森の話題)仙台市天文台の小石川正弘さんから電話があり、隕石が落ちたようだというので、午後の新幹線にとびのって仙台へ向かいました。仙台市天文台の机の上には小さな隕石が二つおいてありました。思わず「こんなことあっていいの?」と大きな声を出し、小坂台長に笑われてしまいました。
 天文台の小石川さん、千田さん、それに郡山からかけつけた藤井さん、岡田さんらと現地に向かいました。隕石が落ちたのは仙台市天文台から北へ10kmほどの黒川郡富谷町の富ヶ丘ニュータウンにあるAさん(おだずま注:実名を伏せます)のお宅です。大勢の報道陣のなかで奥さんから話を聞きました。8月22日13時35分ごろ、奥さんが庭に面した部屋で4歳のお嬢さんにカゼ薬を飲ませていたところ、バシッと竹ざおが落ちるようなはげしい音がしたので驚いて外を見ると、まもなく今度はぬれ縁の上に干してあった洗濯物の上に、黒い石がサッと落ちてきたのだそうです。拾い上げるとなま臭いにおいがしたそうですが熱くはなく、むしろつめたかったそうです。
 外にいた隣の奥さんとなんだろうとあたりを見まわすと、ななめ隣の家の物置のトタン屋根にもう一つ黒い小石がのっていました。小石川さんたちの調査では、もう1軒隣りのプレハブ物置の屋根にキズがあり、これに当たってバウンドして隣りのこの物置の屋根の上にのったらしいことがわかりました。この時の音が初めに聞こえたのでしょう。
 物置に当たった方の重さが8.3g、ぬれ縁に落ちたのが19.2gと、今まで日本に落ちたものでは最小ですが、全面に黒い溶融皮膜をかぶっているものの、明らかに大気中でいくつにも割れた破片の特徴をそなえているので、ほかにもかなり落ちていると思われます。しかし落下前の爆音も火球も見えなかったようなので、隕石の規模は小さかったと思われます。当日は台風10号が日本海を北上中で、空は曇って南風が強く吹いていました。
 とにかく青森隕石は落下後2昼夜、富谷隕石は1昼夜あまりという新鮮な隕石を入手しました。いずれも泥もつかず水にもぬれていないので、もちろんサビなどはまったくありません。青森の破片などはあまりにもきれいなので、最初手にしたとき、どんな種類の隕石か一瞬とまどうほどでした。青森隕石は鉄の量の少ないグループ(シソ輝石球粒隕石)、富谷隕石は鉄分の多いグループの(古銅輝石球粒隕石)でした。
 隕石には宇宙空間で宇宙線に照射されてできた原子核がいろいろ含まれていますが、半減期の短い放射性原子核は、落下後なるべく早くしらべなければなりません。今回の二つは日本での新記録で、目下研究中です。
 同じ東北地方に2カ月たらずの間に、相ついで落ちたのは、本当に珍しいことです。
写真 / 富谷隕石の落ちたAさん宅(左)、こんなふうに拾ったの・・・・・・と語るA夫人

●星の手帖vol.26(1984年秋号)
日本一ちっちゃな隕石落下/富谷隕石
 去る6月30日午後1時50分ごろ、青森市松森の人家に隕石が落下したばかりというのに、わずか2か月もたたない8月22日に、こんどは宮城県富谷町の住宅団地内に2個の小さな隕石が落下、拾得されるという”事件”が起こった。青森市に落下したのが昭和33年埼玉県に落下したものから26年ぶりだったから、これはもう連続隕石落下事件といっていいほどのもの。「まさか」といいながらも相つぐ隕石落下に隕石関係者は口をあんぐりしたり、ほくそ笑んだり・・・。
 写真(文字通り降ってわいたような”大事件”に団地内はウワサでもちきり、おおぜいの住人が事件現場にかけつけ、他にも黒い石がないかとあちこちさがしまわる姿が見うけられた。)
 写真(隕石を見つけたBさん(左端)から落下の事情を聞く村山定男先生。拾われたからわずか26時間後。これほど早く専門家の手にわたった隕石の例はない。)
 写真(住宅のぬれ縁にビシッというするどい物音をたてて落下した。周囲の事情から隕石は南東の方向から飛来したらしい。)
 写真(「赤ちゃんの世話をしていたら、なにかが落ちてきた音がして、こうやってひろいあげました・・・・・・」。隕石の大きい方は縁側になった女児用パジャマの上に見事ソフトランディング。落下時の音のするどさに赤ちゃんもビクリと反応したとか。)
 写真(隕石はこうして落ちたが、もし別の場所だったら発見されたかどうかわからない。)


(↑民俗ギャラリーでいただきました。)

■関連する過去の記事
神岡隕石を持つ人 (2013年2月28日)
巨大隕石と東北 (2013年2月16日)
気仙隕石 (2010年2月15日)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2023.08.27 06:50:33
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

コメント新着

おだずまジャーナル @ Re:仙台「6時ジャスコ前」の今むかし(11/14) 仙台フォーラスは来月3月から長期休業。再…
クルック@ Re:黒石寺蘇民祭を考える(02/18) ん~とても担い手不足には見えませんけどネ…
おだずまジャーナル @ Re:小僧街道踏切(大崎市岩出山)(12/11) 1月15日のOH!バンデスで、不動水神社の小…

プロフィール

おだずまジャーナル

おだずまジャーナル

サイド自由欄

071001ずっぱり特派員証

画像をクリックして下さい (ずっぱり岩手にリンク!)。

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: