おいしい　千葉　～ponの食べある記～

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「錦水」はこの場所で１６年のキャリアを持つ。職人肌の旦那さんと切り盛り役の奥さんと二人だけで、地道に続けている。

市原でお店を長くやっていくというのは、本当に大変なことだと思う。味、値段、応対、清潔感、場所、駐車場。その他もろもろ条件がそろっていたとしても、駄目なところは駄目だし、逆に何一つそろってなくても繁盛しているところは繁盛している。長い間、この近辺の店の栄枯盛衰を見ていても、これといった法則性はなく、本当に難儀で不思議な商圏だと思う。

（いろいろ食べ歩いてるけど、いまこの値段で出している店はないんじゃないかな）と言うと（そうですかねぇ）と奥さんが何でもないように答える。（ずーっと同じ値段でやってるんですよ）（すごい大したもんだよねー）リーズナブルさだけではない。プロの料理人の知人が、この店の仕事のていねいさにはいつも感心していた。（仕入れた材料がきれいに無くなれば、それでいいんだから）とご主人が話に加わってくる。奥さんもそれに頷くようにして（うちは二人だけでやって来たのが良かったんでしょうね）お新香が置かれる。

雑談しながら待っていると、目の前にメインの品物がやってきた。サイドの小鉢は脇の奥さんから、蛤のうしお汁はご主人から受け取った。

錦水　鰻重

ふたを取ると、蒲焼独特のほんわりした香りがひろがる。いい色、いい艶、いい照りをしている。鑑賞用にしばらく見惚れていたいほどだ。箸を入れる。濃すぎず、薄すぎず。甘すぎず、辛すぎず。ジャストのたれの味加減である。濃厚な甘い香りが鼻をついて来る。身がホクホクして、十分すぎるほど柔らかい。今度は、一部分にだけ山椒を振りかけて、そこだけスクエアに食す。

お二人との会話がはずんだ。そのためなのか、いつもは左下から右へ移動して半身を片づけ、また同じように上の半身を片づける自分の鰻重作法がくずれ、左下から上へという繰りかえしになってしまった。（だいたひかるの”どうでもいいですよ”がかぶって来そうだが）

前にも記したが「洋食屋ＫＡＺＵ」や「勝ちゃん」に入ったときと同じような、呼吸の良さ、寛ぎを感じる店である。二人三脚といったら失礼だろう。足元がバタバタしている訳ではない。もっと回転がスムーズな二人三輪でやってきて、気がついたら長年たっていたという感じだろうか。（あの奥さんの影からの支えがすごいんだよ）と、これも前掲の料理人氏のことばが耳に残っている。

この先もずーっとこの調子でやっていって欲しい。大切にしたい店の一つである。

「割烹　錦水」
住　　所：市原市惣社３－４－１
アクセス：国分寺中通り　加茂坂上交差点から更級通り方面へ　１００ｍ先右側
電話番号：０４３６－２４－２１４１
営業時間：１７：００－２２：００
定　　休：月曜日
客　　席：カウンター７/小上がり３卓/
利用種別：個人向き/少人数向き/家族向き/グループ向き/宴会向き/
メニュー：刺身定食１５００/天麩羅定食１５００/天重１０００/うな重１５００/
　　　　　　蒲焼１２００/蒲焼定食１５００/刺身盛り合わせ１５００/
　　　　　　天麩羅盛り合わせ１３００/海老天ぷら１２００/野菜天ぷら６００/
　　　　　　柳川鍋７００/鰻川鍋９００/鰻雑炊８００/海苔茶漬け３５０/
　　　　　　梅茶漬け３５０/お新香５００/一品料理多数有り/
　　　　　　ビール５００/生ビール５５０/酒４００/生酒６００/ミネラル水１００/
　　　　　　オレンジ２００/コーラ２００/ウーロン茶２００/純２０００/
　　　　　　トライアングル２０００/田園２５００/吉四六４０００/
　　　　　　すっぽん料理１２０００～/ふぐ料理要予約/宴会料理４０００～/
評　　価：☆☆☆☆☆

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