おいしい 千葉 ~ponの食べある記~

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2006.08.13
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幕張プリンスのDMの一つが目にとまった。(8月○日千葉市と船橋市の花火大会が同時に行われます。当方の雲上のレストランにてゆったりと花火鑑賞など、いかがでしょうか)最上層のそれぞれの店でディナープランを出していた。私はさっそく、48階の「錦」に予約の電話をいれた。すると、千葉向きの席と船橋向きの席とどちらにするか訊いてきた。幕プリは三角形の建物で、海側にその二辺を向けている。(そこからだとどちらが近いんですか)と、今度はこちらが逆にたずねた。どちらもだいたい同じような距離という答。どちらかというと船橋のほうが近いというので、そちら側の席に決めた。

それからは、どこかに泊りに行くくらいのテンションでその日を待ちこがれた。花火というと、雑踏と屋台しか連想しないような(超庶民)の見方しかしてこなかった。それが、高層ビルの上から食事付で俯瞰しようというのである。奥方は、私より数層倍輪をかけて心待ちにしていた。カレンダーのその日を、大きくスペシャル花丸で飾ってあった。

当日は、花火開始の40分前に入った。コース料理だったが、メイン料理の3品だけはおかわり自由という(限定バイキング)趣向。お決まりのような前菜から中華スープと、料理が順調に供されていく。

すぐ真下に、マリンスタジアムのサークル照明が見えた。かなり落ちた暮色のなかに、メッセのカマボコ屋根が鈍色のシルエットを描いている。海は、黒いオイルでも流したように静まりかえっていた。一部にこまかい水面の反映が散り、それが幕張の浜のほうに連々と押しよせてくる。夕闇が完全に落ちていく。東京湾をかこむ明かりが、ゆるいラウンドを描いて際立ってきた。

メイン2品目の海老チリが供されたとき、千葉ポートタワーのほうが先に打ちあがった。私たちは反射的に周囲の視線の先と同じほうを向き、その場で立ちあがった。しかしそれは、自分たちが思い描いていたものとは全く異なっていた。距離にして10キロは離れてないのだろうが、いかんせん遠いのである。連続した光と閃光。色とりどりの彩輪。それは、リアルタイムのものというより夢の向こうで繰りひろげられている物のように感じられた。

「コップの中の嵐」という言葉があるが、これでは「金魚鉢の中の温泉ネオン」だと思った。遠さが如実すぎて、非現実の箱庭での出来事のようである。

少しして、船橋のほうの花火もはじまった。だがこれも似たようなスケールだった。それらしき音はしているのだろうが、それが花火の音であるかどうかも分からない。連れの気持ちがあるので、あからさまにガッカリはしなかった。ただ(どちらの席をとっても同じようなものだったね)と笑いあった。

チンジャオのあと、また海老チリを所望した。ホテル仕様で盛りが上品なので、再度同じようにリピートした。ここのチリソースは絶品だった。

何の予告もなしに、目の前に大きな花火が打ちあがった。本当に自分たちの目の前で大輪が散っていった。あとからあとから続いた。見ると、マリンの少し横の浜から連発で打ちあげている。球団主宰のものだった。試合の合間をぬって行われるそれは、時間的な余裕のない中で一気に集約してあげていく。密度濃く、後追いで次々とたたみかけてくる。最初からリミッターなしで、花火大会のフィナーレ部分を持ってきている感じだった。

短かったが終わった瞬間、どの席の人も拍手をしていた。奥方もかなり満足したようすで、胸元で小さく手をたたいていた。パンフにも記されてなかったこの演出こそが、その日のメインアトラクションになっていた。かなり救われた。このときのことは、今でも笑い話として飛びだすときがある。

そのときに見た千葉と船橋の花火も、まったくの無駄には終わらなかった。何年か後、私は「遠花火」という曲を書いた。シチュエーションや視点も異なるが、これは紛れもなくあのときの光景がモチーフとなっている。


「遠花火」       詞・曲 by pon

歩道橋のはずれで
低い空 深く
一閃 光の花束をみた

そういえば通りの
手書きのポスターが
五つはなれた町の
花火を告げていた

まるでその下に住む
人々のため息のように
舞い降りて

音もたてずに続く
金 銀 紅アザミ
かざした十円でかくれた

目抜き通りを抜けて
人波のつづく
前行くあなたを
見失わぬよう

浴衣を照らすあかり
幾重にも近く
なにも知らずにはしゃぐ
私の耳元に

この先毎年ずっと二人して見に来よう
そっとつぶやいた

鼓動を刻むように
燐火の大桜
あなたの瞳にひらいた

信号が変わって
クルマの連なりが 
足元を通りぬけて行く

音もたてずに続く
赤白 百花苑
あなたの香りがあふれた





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Last updated  2006.08.16 18:29:23
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