おいしい 千葉 ~ponの食べある記~

おいしい 千葉 ~ponの食べある記~

PR

Calendar

Archives

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2025.03
2025.02

Comments

元 オーナーです (笑)@ Re:びっくりチャーシュー ~大いなる小景~(05/02) 気がつくのに 大変遅れまして すみませ…
確認してないの?@ Re:蘇我陸橋にて ~やっちまった~(05/18) 小湊バスと言うか 路線バスは 国道に出ず …
ロニー@ Re:びっくりチャーシュー ~大いなる小景~(05/02) このラーメンは思い出の味、自分は船の仕…
ポッポ@ Re:もりそば ゆで太郎 ~blue stage・ロードサイドの1コンビニエンス~(10/20) やっぱりね。蕎麦好きな人は行かない方が…
菜の花 菜津子@ Re:天八 ~観光地プライスのサプライズ~(03/20) 明日鴨川に行くので思い出してこのブログ…
アンドー@ Re:肉まん アンドー(11/08) ポン様 お世話になります。 お陰さまで頑…
2008.09.30
XML
カテゴリ: 南部・南房総地域


店内は、L字カウンターと個座敷に分かれている。カウンターがいっぱいだったので、畳のほうに上がった。どこでついているのか、TVの音が小止みなく流れている。

大将とおかみさんと、二人だけで切盛りしているようだ。大きな湯のみでお茶が運ばれてきた。お好みでやる人が多いのだろう。固定メニューとしては一種類のみ。「魚々鮨」(ととずし)と命名された、それを頼んでみる。しばらく間があいた。

向こうのカウンター席では、「だっぺ」「だんがよ」を駆使した房州弁がさかんに飛びかっている。大将が適当に茶々をいれる。華が咲いたような談笑が、ひっきりなしに続いていた。

昭和をテーマにした博物館の一角にすわっているようでもある。安普請の折テーブル。W仕様なのだが、1本しかついてない蛍光灯。ある種の場末感が漂う。しかしこの店には、不思議と似合っている気がした。すべての駅が新幹線の駅仕様では、面白味がない。それと同じように、各店には各店なりの風情があってよいのではないか。

やがておかみさんが持ってきてくれたのは、白い下駄にのった地魚寿司だった。いわしのたたき、あじ、赤身3貫、スズキ3貫という、本格的に地味といってよい顔ぶれが居ならんでいる。

しゃりが割と小粒で、口に含んだとたん、ホロリとくずれる。軟質系マジックの仕込まれたそれは、ネタとの相性も抜群。湿性に富んだ旬鮮な端切れは、にぎり玉のソリッド感に邪魔されず、切り身本来の旨さを主張してくる。舌の上でネタが踊る。柔軟に折りたたまれながら、縦横に軟体化する。海鮮系のセンサーが、心地よく感応していた。

カウンターでの談笑は、いつまでも絶えないようだった。そのようすを、遠望さながらに流しながら、私は勝手な妄想をめぐらせていた。なぜか理由はない。「ヒーロー」という言葉が思い浮かんでしまう。これはまた、大将とおかみさん、お二人に対する賛辞のようにも考えられた…。

    *     *     *

テレビや映画で登場するHEROというのは

ただの人造物でしかない

それは永遠に存在しないものと断言してしまっても

まんざら嘘ではないだろう


いつまでも虚妄に浸っていてはいけない


漁港の近くにあるからといって

その百円寿司チェーン店のネタが

特に優れているわけではない


百円ショップ向けの工場が近くにあるからといって

その百均店の品物が

特に優れているわけではないのと同義だ


いつまでも虚妄に浸っていてはいけない


百円ショップは 人知れず値上げをしている

また 百円ショップは 人知れず値下げをしている

たぶん 人目につきにくい形で


いつまでも虚妄に浸っていてはいけない


すべての箱ティッシュが

200組400枚の

お決まりのワンパターンではない


いつまでも虚妄に浸っていてはいけない


値段の序列は 主に原価によるものであり

美味しさの序列と何ら関係があるわけではない


いつまでも虚妄に浸っていてはいけない


店頭売り10本入りのアイスを

何袋かカゴに入れ

レジに持っていったところ

その横のショーケースに

宝石のような輝きで並んでいた

この店にしては高価なケーキを

調子にのっていくつも買うのは

たぶん ちっとも得してない


いつまでも虚妄に浸っていてはいけない


推理ドラマの最終場面で

真犯人が「本当のこと」を

長々とカミングアウトする場面があったりするが

そんなことをする奴は

歴史上一人としていない


HERO系ドラマで

相手の危機一髪を感知して

主人公がカッコよく登場したりするが

そんな調子のいい偶然は

ほとんどあり得ない


アクションもので

犯人が放つピストル弾に対して

顔をよけたり 身体をひねったりして

軽々とかわす場面があるが

それは物理上 いかにも不可能である


ビルの最上階から落下していく人を

着地寸前で軽々受け止めたりする

浮遊系のキャラクターがいたりするが

それも物理上 あまりに不可能である


いつまでも虚妄に浸っていてはいけない


本物のHEROは

表彰台の上にいない

歴史に名を残したりしない

テレビで紹介されたりしない

ネットで流れたりしない


それは もっと身近な場所で

もっと空気のような存在で

ひっそりとたたずんでいる


真のHEROは

おのれの分限を知り

その中で出来得る最大限のことを

淡々とこなしていく


愚痴もこぼさず 文句も言わず

自分の視界に入ってくるものを

積極的に受容し

今なすべきことを

スムースに遂行していく


その昔 正宗白鳥が描いていた

戦時中 どんなに激しい爆撃でやられても

平穏なひとときが来るや否や すぐさま

それが何ごとでもなかったように

その場に広がった残骸を

黙々と片づける人たちと

どこか 通有している


HEROは

我々のすぐそばで

自分の仕事をこなしている


気ばらず 普通の顔で

ゆるまず 何気ない普段着で

ときには笑顔で 心をこめて


欲望のベクトルが渦巻く

人世のありようにおいて

そのまま放っておけば

必ずや ささくれ立ってしまうだろう

場面の数々も

その人たちの

影日向での寄与・貢献によって

何ごともないように

平滑に流れていく


HEROは

ごく当たり前の日常性の中で

おのれの透明な役割を

100パーセント

こなし続けている

ただ淡々と ただ黙々と 

一五鮨 魚々鮨

鮨処「一五鮨」 (いちごずし)
住  所: 館山市北条1747
アクセス:市立図書館近く P(約10台) 
電話番号:0470-23-1546
営業時間:11:00-14:00/17:00-21:00/
定  休:火曜日/
座  席:カウンター7席/小上がり5卓/テーブル1卓/
利用種別:個人向け/家族向け/グループ向け/
料金支払:あと払い/
メニュー:魚々鮨945/その他おまかせ/ 
評  価:☆☆☆☆☆
     (味4/量4/サービス4.5/雰囲気4.5/CP4.5/駐車場3.5)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.10.07 09:49:36
コメントを書く
[南部・南房総地域] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: