私訳・源氏物語

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佐久耶此花4989

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February 15, 2006
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カテゴリ: 雑感
私は極端に内気で、友達をつくれなかったこともあって、

りました。
 そのせいか小学生のころは、少しも楽しい毎日を過ごして
いなかったように思えるのですが、それでもある意味で、と
ても豊かな育ち方をしてきたのではないか、或いは私自身に、
何か特別な感受性を与えられて、豊かさを味わうことができ
たのではないかと思うことがあります。

 空の雲を飽かず眺めてみたり、出窓に寝そべって窓ガラス

器の文様に不思議な感覚を覚えてみたり・・・。
 今ではもう、面白くも不思議とも感じないものに、とても
心惹かれた時期がありました。

 今でも思い出すのは、母の裁縫箱とツメの手入れ用具の入
った紅色のケース、それにボタン入れです。

 大きくてよく切れそうに光る裁ちばさみ、色糸で飾られ鈴
のついた握りばさみ、頭に赤や黄色のビーズをつけたマチ針、
書くと色が付くチャコ、着物のはぎれ・・・。
 母の裁縫箱は、かわいいものでいっぱい。
 おまけに蓋が開いたり、引き出しがあったり、思わぬとこ
ろに仕掛けがあって、飽きることがありませんでした。


ありませんでしたが、父からのプレゼントだったというすて
きに紅いケースの中には、同じ色の柄のついた小さく華奢で
魅惑的な道具がいくつか入っていました。
 あのころ感じた寂しいような不思議な感覚は、幼い娘の私
が知り得ない大人の女性のにおいを、母のどこかに感じたか


 ボタン入れは3段の引き出しになっていて、いつも同じボ
タンしか入っていないのですが、それでもなぜか私には魅力
的でした。
 真鍮でできたような、いかにも時代がかったボタンや、オ
ーバーについていたらしき大きな黒いボタン、母のカーディ
ガンの紺色の小さなボタン、丸いふちどりの付いた帽子のよ
うなボタン、赤いボタン、白いボタン、穴が二つあるボタン、
4つも穴のあるボタン・・・いろいろなボタンを出しては並
べて、時間を忘れ、夢中になって遊びました。

 あんな時期はもう来ないにしても、心豊かな時間は感受性
しだいで、いくつになっても持てるのではないか・・・そう
感じています。





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最終更新日  March 8, 2017 06:44:16 PM
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