私訳・源氏物語

私訳・源氏物語

PR

プロフィール

佐久耶此花4989

佐久耶此花4989

カレンダー

バックナンバー

November , 2025
October , 2025
September , 2025
August , 2025
July , 2025
June , 2025
May , 2025
April , 2025
March , 2025
February , 2025

キーワードサーチ

▼キーワード検索

April 9, 2006
XML

 さて、夕霧の母方のいとこに、雲居の雁というお姫さまがいらっしゃいました。

 彼女の母君が再婚なさいましたので、父君の内大臣が引き取られて、おばあさまの大宮にお預けし、ご養育をお任せしていました。

   父の内大臣からご覧になられても「姫君のご様子はたいそうあどけなく、御髪のさがり具合や髪の生え際などが上品で、恥じらって少し横をお向きでいらっしゃいますご様子やお顔つきが実にかわいらしく、とくに御琴の絃をお押さえになる手つきが、上手に作られたお人形のように華奢」で幼いのです。

 ところがこの幼いいとこ同士が、大人たちの知らぬ間に、慕いあう仲となります。
 それを知った父内大臣は激怒し、さっそく母大宮をたずねて恨み言を言いまず。

 母宮はご自慢の息子の来訪に喜び、きれいにお化粧し、「うるはしき御小袿など」に着替えてお迎えなさるのですが、「おとど御けしきあしくて」とご機嫌悪いご様子で、「母宮をご信頼申し上げてお預けしたのに、子供たちの好き勝手に放任なさって、嘆かわしいことです」と、一方的に文句を並べます。

 大宮はびっくり仰天「けさうじ給へる御顔の色たがひて、御目も大きになりぬ」と、せっかくお化粧なさったお顔の色がさっと変わり、お目も大きく見開かれたというのですが、このリアルな表情描写に、当時の読者は笑い転げたのかもしれません。

 それにしても「姫君は、何心もなくて」相変わらず子供じみていらっしゃるのです。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  March 8, 2017 06:57:23 PM
[源氏物語の女性たち] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: