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「律義者の子沢山」夕霧の筒井筒、幼い恋の物語です。
その壱
夕 霧は源氏の君の正妻・葵の上が、お命と引き換えるようにしてお産みになられた一人息子です。葵の上の母宮にとりましては、一人娘を失われたお悲しみに加え、母親を失った孫息子が不憫でなりませんので、おのずと夕霧を慈しまれます。
この夕霧も元服し六位に叙せられますが、おばあさまである大宮は、昇殿のゆるされないこの一番低い位に、大いにご不満でいらっしゃいます。
しかし、ここで源氏の君曰く、
「親の七光りで高い地位につけても、親が死んだら軽んぜられるようになる。学問があってこそ世に用いられるものです。遠回りであっても今は勉強が大事。そのうち国の柱石として役に立てる日が、きっとくるはずです。」
父親として「なるほど!」と感心するようなことを言うのですが、私は「もっともなこと」と思うほどに、彼の現実生活との乖離を感じて、可笑しくなるのです。