私訳・源氏物語

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佐久耶此花4989

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July 6, 2008
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 「中将の君の、ひんがし面(おもて)にうたたねしたるを、あゆみおはして、見給へば」
 中将の君が東面の自分の局でうたたねをしていました。そこへ源氏がいらしたのですが、たいそう細く小柄でかわいらしい格好をして、「起きあがりたり」起き上がりました。

 「つらつき、花やかに匂ひたる顔を、もてかくして、すこしふくだみたる髪のかかりなど、いと、をかしげなり」
 寝起きなものですから、頬のあたりが花やかに赤みを帯びてつやつやしていますのを扇で隠していますが、髪が乱れてふくらんで、肩にかかっているのもたいそううつくしく愛らしいのです。

 この時、中将の君はまだ喪服を着ているのですが、その「裳・唐衣もぬぎすべしたりけるを、とかく、ひきかけなどするに」腰に着ける裳や、一番上に着る唐衣の脱ぎすべらせているのを、慌てて腰や肩にひきかけようとしている、というのです。

 小柄でかわいらしい女房が着衣の紐をゆるめたり、身体から脱ぎ滑らせたりしてくつろぎながら「うたたね」しているのですが、紫の上が亡くなったあとにひょいと出てくるこの場面は、のどかでユーモラスで、なにかとてもほっとするものを感じさせます。





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最終更新日  March 9, 2017 07:45:52 PM
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