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2008年12月8日の夜8時前だったでしょうか、電話が鳴りました。ちょっとご年配らしい落ち着いた男性の声で
「**さんのお宅ですね。『随筆春秋』のSです。」
私が入会しているエッセイの同人誌を代表なさる先生からでした。
「**さん?」
と、私の名前を確かめるように聞いて、
「あなたは私の教室の生徒さんだったそうですが、何年くらい前のこと?何年くらいいらしたの?」
「もう、ずいぶん昔です。何年どころか先生、半年ほどでした。でもとても楽しかったです。その節は、お世話になりました。」
S先生は二十年ほども昔でしょうか、私が文章教室で添削を受けていたときの先生でした。
A新聞の記者をしていらした先生の文章には、鋭い世評の中に暖かさとユーモアがありました。当時ひと月に一回提出する文章は600字で、タイトルが決められていました。
方向性が決まっていても、文章の中身に対する「思い」に迷いのある時は、そこを鋭く指摘されました。「思い」が散漫になっていることを見抜く先生の感受性に、恐れをなしたものです。
けれど我ながら集中して書き上げたと感じる時は「うまい、うまい。実にうまい。」と手放しで褒めてくださるのです。
私は先生の励ましが嬉しくて、文章を書くのがとても楽しく、毎回短いお手紙を添えていたのですが、「S先生とかけて健啖家と解く。そのココロは?」などと書いたのが最後で、その後継続の申し込みはしたものの、中医学の原書に取り組み始めて仕事のほうが楽しくなり「何でもうまいうまい」と、そのココロを書く機会を失ったままでした。
札幌市民芸術祭・奨励賞に。 August 31, 2019
初めての受賞 -2- December 19, 2008
「随筆春秋賞」に! December 13, 2008