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夕顔という女性は、自分から男性である源氏を誘っていて、しかも「さすがに、うちとけぬさま」源氏をじらすところには、恋に馴れた手練れのようなものを感じさせます。
「いと、あいだれたり」という言葉には、どこかだらしなく甘えている様子を連想させ、いかにも「安物」の雰囲気があって、私には好きになれない女性の一人です。
もちろん女性から男性へ、積極的に声をかけることが不快なのではありません。しかし例えば
「わがもてなし・ありさまは、いと、あてはかに、児(ご)めかしくて、又なくらうがはしき」とあるように、いかにも自分が上品で子供っぽいようなふりをする、その態度に不快感を覚えるのです。
それは今風にいえば、舌足らずの甘えた口調で話し、嬌声をあげるような下品なものを感じさせ、六条御息所の口を通して語られる「ことなる事なき人」歌詠みの才能もなく、何のとりえもない人であることに、私も共感してしまいます。
作者は夕顔を、思慮深く重々しさが欠け、もう少し気取ったところがあったらいいのに、そしてまた夕顔のどこに心が惹かれるのかが分からないなどと源氏に言わせていますが、そんな蓮っ葉な夕顔だからこそ、生霊となった六条御息所の登場やせりふにも説得力が増すのかもしれません。