私訳・源氏物語

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佐久耶此花4989

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May 24, 2009
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  紀伊の守の若い継母は、気位の高い女であると聞いておいででしたから、何とか様子を探りたいとお思いになって聞き耳を立てていらっしゃいます。するとこの寝殿の西面に、人の気配がしました。

「衣の音なひ、はらはらとして、若き声ども、にくからず。さすがに、忍びて笑ひなどするけはひ、ことさらびたり」

 衣ずれの音がさらさらと鳴り、女の若い声がしました。さすがに声をひそめて忍び笑いなどしている気配がいかにもわざとらしいのですが、それも悪くないなとお思いになります。

 せっかく格子を上げてあったのですが、紀伊の守が「不用意だ」と叱って、下ろしてしまいました。

暗くなって灯火が灯されますと、明かりが隙間から漏れてきます。

 従者たちは酔いつぶれて板敷で寝てしまいましたが、源氏の君は寝ざめがちでいらっしゃいました。

「紀伊の守の若い継母が来ているのだ。障子の向こう側には、前から何かと噂を耳にした、その空蝉という女が隠れているのだろうか。あの若い女の声がそうかもしれない」

などとお思いになり、そっと起きて耳を澄ませておいでなのでした。






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最終更新日  August 20, 2017 02:55:43 PM
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