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帚木の巻に来てやっと、物語らしくなってきました。
源氏物語は冗長で、
しかも「~でないことはない」といった反語的言い回しが多く出てきますし、
語尾をぼかして意思をはっきり主張していませんし
、何よりも「主語」が明確にされていないので、
誰の言葉なのかを読み取らなくては、お話の辻褄が合わなくなってしまいます。
冗長な部分はある程度まとめ、原文の持つやんわりとした雰囲気も壊さず、
しかも現代人にも面白さが分かるように、
くどさが出ないよう自然な形に補うことが当面の私の課題です。
私の手元にあるのは、
岩波書店刊行・日本古典文学大系・源氏物語(校注者 山岸徳平昭和48年第18刷)と、
同書店・新日本古典文学大系・源氏物語(校注者 柳井滋ほか 1993年第1刷)で、
前者は主語のほかに、細かく注釈が施されていて分かりやすいのですが、
直訳が多いため、そのままでは「物語」としての面白みが伝わりにくく、
後者は注釈が少ないので不親切なように思いましたが、
新しい解釈などが加えられていてとても参考になり、この二冊を原文としています。
ところで以前にも書きましたが、私にとって重要なのが「古語辞典」です。
三省堂や岩波のほかに小学館の古語大辞典も購入したのですが、
やはり中学のころから使い慣れた三省堂ばかりを多用してしまいます。
手になじんで引きやすいことのほかに、
用語のほとんどが源氏物語から引用されているからなのですが、
しかしそれでは訳した文章のほとんどが、
今まで使われてきたと同じ言葉の羅列になってしまい、
新鮮味はもちろん、面白味のない翻訳文になってしまいます。
私は、「物語」としての面白さを第一に考え、
分かりやすく、辻褄が合い、意味が通じるように訳したいと思っているのですが、
ともすると「私訳」ばかりが前面に出た「勝手な創作」になってしまう恐れがあって、
このあたりにも二律背反した難しさを感じています。
それはともかく、読んでくださる皆さまが、
単純に「面白いお話」として楽しんでいただけるように心がけ、
私自身も楽しみながら訳していきたいとおもっておりますので、
これからもどうぞよろしくお付き合いくださいませ。
また、今のところ掲示板や日記への書き込み設定をしておりませんので、
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