私訳・源氏物語

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January 28, 2010
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カテゴリ: 源氏物語

 まだ生きているなら、心もとない身の上で
世の中にさすらっているのではないでしょうか。

私もあれほど愛しく思っていたのですから、
煩わしいほど付きまとう素振りが見えたなら、行方知れずにはしなかったでしょうし、
このように放っておかず長く面倒を見たでしょうに。

あの撫子は可愛らしかったものですから、
私は何とかして探し出したいものと思っておりましたが、今でも消息が分からないのです。

これこそさっきの『言うべき恨みごとも黙って堪え、表面では平静を装っていて、
人知れず隠れてしまうような女』の例ではありませんか。

 女は内心で私の事を『薄情な男よ』と思いながら平気な顔をしているものだから、
私はその本心を知らずに益のない片思いをしていたことになりますよ。

 今 私はようやくあの女のことを忘れることができるようになりましたけれども、
あの女は私を思いきることができずに、胸を焦がす夕べもあろうかと思われるのです。

この女はある意味で、『長持ちしそうもなく、頼りがいのない女』の例
といえるかもしれませんね。






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最終更新日  March 8, 2017 10:48:35 AM
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