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やっと「帚木」の巻を終えることができました。
有名な「雨夜の品定め」は、
女性の作者が異性の立場から同性を批評するところに、皮肉な面白さがありました。
愛情があるわけでもないのに、
いわば腐れ縁でずるずると一緒にいる男は誠実そうに見え、
相手の女も奥ゆかしく感じられるが、「いとゆかしきこともなしや」そんなことなどないね、
と言っているのには、「仮面夫婦」や少し前にCFで流れた「3メートルの思いやり」
が思い出されます。
「出家」を切り札にする女には、
相手の男に「妊娠」の責任と道義をつきつけて結婚を迫る現代女性
にも通じる傲慢で卑劣な心根を感じます。
同性としてはなかなか言えない「女のいやらしさ」を、
異性に言わせるところが心憎くもあり痛快でもありました。
後で紫の上が
「女ばかり、身をもてなすさまも、所せう、あはれなるべきものはなし
(女ほど自分の態度のとりかたが遠慮され、悲しく無念なものはない)」
http://www.infoseek.co.jp/SRedirect?svx=100600&qt=http%3A%2F%2Fplaza.rakuten.co.jp%2Fototachibana%2Fdiary%2F200810020000%2F&col=search&enc=utf-8
と、女の身を嘆く場面が出てきます。
左馬頭(さまのかみ)が男の立場から理想とした女を、
今度は女の立場でその内面を描いているのですが、そこにこそ女であることに甘えない、
知的な作者の懊悩があるように感じます。
「左馬頭」で思い出しましたが、彼が饒舌に女の話をしているところで
「ひゝらく(ひゝらぎ居たり)」という言葉が出てきます。
「ぺらぺらしゃべる」と訳しましたが、第一番目に「いななく」という意味があって、
そこには「馬」に掛けた言葉の面白さもあるのです。
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